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Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を隔日更新で紹介します。

#1214 『本馬場』(松前真奈美/ダービースタリオン99/PS)

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アスキーがおくる競走馬育成シミュレーション・ダービースタリオンより、

松前真奈美作曲、99の『本馬場』。出馬表の画面で流れます。

競走馬の生産と育成に重きを置くダビスタシリーズのうち、PS向けに登場したバージョン(97)の拡張版にあたる本作。プレイヤーは馬主兼調教師兼生産者となり、自分好みに競走馬を生産して調教して出走させて、サラブレッドの頂点を目指すことになる。基本的なゲーム性はそのままに、レースシーンをはじめとするグラフィックの向上、サイレンススズカエルコンドルパサーら当時の最新の馬データの反映、各種バランスの調整や細かなシステムの変更など、前作から順当に強化された。新たな脚質として大逃げとまくりが初登場したほか、レース時における馬の体重による影響がなくなった。また、PocketStation(PSと連携する携帯型の周辺機器)に対応していて、ポケステ経由で馬のデータをやりとりしたり対戦したりすることができた。じっくり時間をかけて遊べる仕上がりとなっている。

本作の音楽を担当するのは松前真奈美氏。フリーランスの作曲家で、ダビスタシリーズには1作目から携わっている。また、例によってファンファーレは原則的に実在の競馬場の曲を使用していて、すぎやまこういち氏や宮川泰氏をはじめとする著名な作曲家の名前もスタッフロールに掲載されている。本作の音楽は97から受け継いでいて、ヒーリング系の優しい曲調や、カントリーなどの明るい曲調など、全体的に牧歌的で朗らかな楽曲が揃っている。サウンドトラックは本作単体のオリジナル音源のものに関しては未発売だが、97のアレンジサントラは存在する。

出馬表の画面で流れるのがこの曲である。レースに先立って表示されるもので、出走する馬の確認や騎手への作戦指示などをおこなうことができる。そうしたなか、ラッパを主軸に据えた行進曲然とした曲調で、これから始まる晴れ舞台への期待感を募らせてくれる。キャッチーで聴きやすい主旋律に、7秒や12秒など短くさりげなく高音を鳴らすピッコロのような音色や、きらきらとした響きを帯びたチャイムが組み合わさることで、勇壮であると同時に茶目っ気があって親しみやすい印象を与える。34秒以降で流れが変わると、38秒から伴奏に弦楽器を加えて徐々に陽気さを増していく。弦楽器の音量はそう大きくないが、53秒からは跳ね回るような調子で楽しげに演奏することで、曲のムードを盛り上げるのに大きく貢献している。また、メインメロディーを支える形で響く木管楽器が果たす役割も大きく、主旋律の魅力をうまく引き立たせている。終盤の1分4秒ではオーケストラヒットを駆使して躍動感たっぷりに締め括る。レースの興奮を先取りして伝えてくれるような一曲である。

この曲を紹介してほしいというリクエストをいただきました。締めの盛り上がり方がとても気持ち良いですね。