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#1221 『怒れ男だ』(安慶名伸行・上原和彦・冨田朋也/がんばれゴエモン2 奇天烈将軍マッギネス/SFC)

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コナミがおくるアクション・がんばれゴエモンより、

安慶名伸行・上原和彦・冨田朋也作曲、2マッギネスの『怒れ男だ』。

エリア2-2「いなばとうげ」で流れます。

コミカルな和風アクション・がんばれゴエモンシリーズのうち、スーファミ向けの2作目にあたる本作。今度のゴエモンは、厄介払いの罠だと知らずに福引で当たった琉球バカンスを満喫していたところ、大江戸城が謎の異人・マッギネス将軍に乗っ取られて飛び去ってしまったと聞き、大江戸城を追って冒険することになる。見下ろし型だった前作までから代わり、本作ではサイドビュー視点の横スクロールアクションがメインになり、分岐ありのエリアマップからステージを選択して攻略していく。制限時間内にクリアを目指すスタンダードな道中ステージ、情報収集やアイテム購入がおこなえる町ステージ、敵本拠でボス戦に挑む城ステージ、本作初登場となる巨大からくりメカの「ゴエモン・いんぱくと」を操ってメカ同士で対決するステージが用意されている。新たな操作キャラとして忍者のサスケが加わったほか、引き続きいつでも途中参加できる2人同時プレイに対応している。ゲームシステムの刷新や、時代劇の世界観にメカを投入する思い切った作風など、以降のシリーズの方向性に影響を与える要素が多く含まれる。程よい歯応えと愉快さがある仕上がりとなっている。

本作の音楽を担当するのは安慶名伸行氏、上原和彦氏、冨田朋也氏。冨田氏は当時、上原氏と安慶名氏は現在もコナミに所属する作曲家である(ただし上原氏は現在、同社の執行役員であるため、作曲活動からは遠ざかっているようである)。上原氏は前作で作曲経験があるが、安慶名氏と冨田氏はシリーズ初参戦で、本作を皮切りに以降の作品にも携わることになる。本作では陽気な和風テイストを軸に、ジャズやロックなどを混ぜ合わせた多彩な曲調の楽曲が取り揃えられている。サウンドトラックは長らく存在しなかったが、シリーズ30周年記念に登場したBOX仕様のアルバムのなかに本作の音源が収録されている。

エリア2-2「いなばとうげ」で流れるのがこの曲である。セピア色の美しいステージ背景のもと、トゲと落下死に注意しつつ狭い足場を飛び移って進むことになる。まるで結果発表のファンファーレを連想させるような、ドラムロールを駆使した派手で壮大なイントロで始まり、メインメロディーが入ってからは一転して素朴でおどけた雰囲気を漂わせる。前向きで楽天的な主旋律に、ノリと渋さを併せ持ったベースラインや、ビョンビョンと跳ねるように鳴る口琴の音色、12秒頃などでみられる鋭く華やかなラッパの演奏が絡み合うことで、ウキウキするような楽しい響きを生み出す。17秒からは笛や三味線など和楽器を交えて盛り上げ、和風ならではの雅やかで親しみやすい印象を与える。1ループ30秒ほどとコンパクトにまとめられていて、短いからこそ耳に残る瑞々しい一曲である。

この曲を紹介してほしいというリクエストをいただきました。おどけているようで趣がある感じが良いですね。