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Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を隔日更新で紹介します。

#1227 『正義は我にあり』(花岡拓也/スーパーロボット大戦α外伝/PS)

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バンプレストがおくるシミュレーションRPGスパロボより、

花岡拓也作曲、α外伝の『正義は我にあり』。第6話のマップなどで流れます。

古今東西のロボットが集結するスパロボシリーズのうち、αシリーズの2作目にあたる本作。前作の争いで生じた衝撃波から地球圏を防衛するイージス計画を進めていたところ、思わぬ成り行きで荒廃した未来の地球・惑星ゾラに飛ばされ、荒れ果てた地で戦うことになる。オリジナル主人公不在で物語序盤は現代編、途中から未来編へ移る構成で、新規参戦作品としてガンダムX∀ガンダム、ブライガーザブングルが加わった。主なゲーム性は前作を踏襲しつつ、後のシリーズで受け継がれる援護システム(隣接ユニット同士で追撃や庇護が発生する)が初登場したほか、ダメージの算出法が大幅に見直される、反応パラメータとそれに伴う二回行動が廃止される、ユニット改造の上昇値が割合制に置き換わる、武器改造が個別ではなく一括強化に変更されるなど、調整内容は多岐にわたる。戦闘アニメと台詞パターンがパワーアップした点も大きな特徴で、個々のユニットの魅力はもちろん、クロスオーバーものらしい掛け合いの見応えも担保されている。バグの多さやロードの長さをはじめ、様々な粗があるが、後の作品に影響を与える要素が凝縮された仕上がりとなっている。

本作の音楽を担当するのは鶴山尚史氏と花岡拓也氏。花岡氏は当時、鶴山氏は現在も音楽制作会社サラマンダー・ファクトリーに所属する作曲家である。前作に引き続き作曲していて、後のαシリーズに加え、それ以降のスパロボシリーズにも長く携わり続けている。また、一部のみだが葉山宏治氏(αのメインテーマの作曲)、七瀬光氏も携わっているようである。本作では前作の楽曲や版権曲などを多く用いつつ、新曲も書き下ろされていて、作風に見合った派手で勇壮なサウンドを楽しむことができる。また、シリーズ恒例となるJAM Projectによる主題歌が採用されるのは本作が初めてである。サウンドトラックは存在するものの、版権・本作オリジナルともに未収録の楽曲もすくなくない。

第6話や第23話などにおける自軍側のマップBGMとして流れるのがこの曲である。出だしから猛々しく吼える管楽器と、分厚く打ち鳴らされる打楽器、華やかに奏でられる弦楽器が印象的で、一気に臨戦態勢に引き込んでくれる。8秒からは太鼓の重圧的なリズムと、それとは対照的に軽やかで煌びやかなグロッケンシュピールを交えながら、徐々に盛り上げていく。ブラスやストリングスによる密度の濃い旋律を紡ぐ傍ら、時折21~22秒や31秒などでフルートの透き通った音色を響かせることで、重く激しい響きのなかに軽妙で流麗な印象がうまく融合している。32秒以降で一旦ストリングスやハープを駆使したしっとりと美しい間奏が入るが、40秒から再び勢いを盛り返すと、今まで以上に荘厳なオーケストラの演奏を披露する。特筆すべきは1分10秒、1分30秒、2分6以降でそれぞれしばらくの間、鉄琴が再度響き渡ることで、重厚な演奏の合間に鮮やかな興を添えている。曲名通りの気迫に満ちた果敢な一曲である。

この曲を紹介してほしいというリクエストをいただきました。個人的には50秒~54秒でピアノの重低音を響かせるところが気に入ってます。2次α、3次α、2次OGでもアレンジされて使われてますが、私も初出のα外伝版が好みです。それぞれあわせてどうぞ。

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