VGM格納庫

Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を隔日更新で紹介します。

#1234 『Detect』(神田有士/アーマード・コア2 アナザーエイジ/PS2)

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フロムがおくる3D戦闘メカアクション・アーマードコアより、

神田有士作曲、2AAの『Detect』。エンディングで流れます。

傭兵となってメカを駆るアーマードコアシリーズのうち、2の世界観やシステムを受け継いだ続編として登場した本作。前作の5年後を舞台に、政府と企業体への不満がくすぶる地下都市による小規模な武装蜂起が相次ぐなか、一傭兵として各地の任務に応じることになる。物語の骨子や個々の任務内容こそ存在するが、追うべきメインストーリーはなく、これといったチュートリアルもなく、全100ミッションを黙々とこなしていく。護衛、殲滅、救出、対AC戦など、ミッションごとに多彩なシチュエーションが用意されているほか、画面分割で二人で挑むVSミッションや、シリーズ初となるオンライン対戦(双方の環境で対応モデムを準備して回線を繋げる方式で、通話料が発生する)が実装されている。仮に任務に失敗しても経費が差し引かれたり依頼が消滅したりといったデメリットが課されない点が特徴で、状況や好みにあわせて機体をカスタマイズして快適に試行錯誤することができる。傭兵稼業にどっぷり浸からせてくれる、非常に噛み応えのある仕上がりとなっている。

本作の音楽を担当するのは神田有士氏、齋藤司氏、瀬川圭一郎氏、Ikuya Ichinohe氏(情報がすくないため、漢字表記は不明)。いずれも当時フロムに所属していたか、現在も所属している作曲家である。四名とも前作から続投でサウンドを手がけている一方で、前作に携わっていた星野康太氏とMijk van Dijk氏は不参加である。本作ではテクノやインダストリアル系の淡々とした曲調を中心に取り揃えられている。また、一部歴代キャラが出演を果たすミッションが存在することなどから、過去作から流用されている楽曲も含まれる。サウンドトラックは長らく未発売だったが、20周年記念にシリーズ楽曲を網羅したCDコレクションが登場し、DISC4に本作の楽曲が収録されている。

エンディングで流れるのがこの曲である。最終ミッション「軌道エレベータ解放」をはじめとする複数の任務で流れる『Detect type0』の差分で、核となるフレーズは共通している。全体的にシンセパッドが目立つ『type 0』と比べて、こちらは浮遊感を維持しつつ、よりベースラインを強調して濃密な印象を強めている。隙のない骨太なリズムで徹頭徹尾ソリッドな響きを帯びている一方で、28~34秒や42~43秒、1分37~38秒などでたびたび神秘的な間を入れることで、息を奪われるようなメリハリを生み出している。ノイジーだが不思議と落ち着くような、恍惚な聴き心地をもたらす一曲である。

聴いているとゾーンに入るような感じがします。すごく良いですね。『Detect type0』もあわせてどうぞ。

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