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#1313 『事務所・通常週』(タケカワユキヒデ/ウイニングポスト2/SFC)

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光栄がおくる競馬シミュレーション・ウイニングポストより、

タケカワユキヒデ作曲、2の『事務所・通常週』。通常時の事務所で流れます。

上記動画の9:00から11:04まで。

馬主となって競走馬を生産するウイニングポストシリーズのナンバリング2作目にあたる本作。プレイヤーは馬主となり、30年の任期のなかで育てた愛馬でG1レース制覇を目指すことになる。基本的なゲーム性は前作を踏襲しているが、明確なプレイ期間が設けられている点、それに伴って馬も人(プレイヤー自身の他に騎手、調教師、秘書など)も徐々に年を重ねて場合によっては世代交代していく点が大きな特徴である。スーファミならではの色鮮やかなグラフィックで、より臨場感を増したレースシーンを観戦できることに加え、キャラを操作して人々と交流するちょっとしたロールプレイング要素を通じて馬主ライフを追体験することができる。出走可能なレース数は地方や海外も含めて大幅に増加していて、馬や騎手はレースで勝つたびに成長・強化されるため、配合の巧拙よりも積極的な活躍に重きを置いたゲームバランスに仕上がっている。後にPSやセガサターンに移植されたほか、アッパーバージョンや年度版が前述の各機種およびPC98で登場した。

本作の音楽を担当するのはタケカワユキヒデ氏、楠瀬誠志郎氏、小西貴雄氏、山崎洋一氏。タケカワ氏は音楽バンド・ゴダイゴのボーカリストとして知られ、本作のメインコンポーザーを務めている。楠瀬氏は主にJ-POPの分野で活躍するシンガーソングライター、小西氏はアーティストへの楽曲提供を手がける作編曲家、山崎氏は前作に引き続きの参加となるピアニスト兼作編曲家である。また、一部ファンファーレの制作は新井智詞氏が担当した模様である。本作では日常とレースを活き活きと彩るチャーミングでポジティブな楽曲が多く揃っている。サウンドトラックについては、アレンジを施したサウンドウェア盤と、前作とまとめてオリジナル音源を収録したものがそれぞれ存在する。

通常時(G1レース開催週ではない週)の事務所で流れるのがこの曲である。行動の拠点となる一般的なオフィスの一室で、秘書から話を聞いたり、厩舎や牧場の様子を観に行ったり、各種情報を閲覧したりすることができる。エレクトリックピアノと思しきラウンジ感のある音色が印象的で、5~7秒(上記動画の9分5~7秒)や13~15秒(9分13~15秒)でみられるようにそっと笛のフレーズを織り交ぜることで、穏やかな曲調のなかに艶を添えている。16秒(9分16秒)以降はしっとりと奏でられる旋律の裏で、シェイカーやバス、スネアドラムがリズミカルに鳴り響き、心地良いテンポ感とくつろいだ雰囲気を生み出す。居心地の良いムードが十分に浸透したところで、47秒(9分47秒)からしばらく、弦を指ではじくピチカート奏法を用いて目が醒めるような軽快で躍動感あふれる印象を与える。それが終わると再び落ち着いた曲調へ回帰する。安穏としつつも艶と刺激が感じられる一曲である。

この曲を紹介してほしいというリクエストをいただきました。とても素敵で粋な曲ですね。PC98のFM音源も音色の親和性が高くて好きです。あわせてどうぞ。

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