岩垂徳行作曲、2の『追究 ~つきとめたくて』。
対決パートのクライマックスで流れます。
弁護士の活躍を描く逆転裁判シリーズのスピンオフ作品として、検事に焦点を当てた逆転検事の続編にあたる本作。前作のヤタガラス事件の解決からほどなくして再び発生した事件の捜査をしていた検事・御剣怜侍は、突如検事審査会の命で捜査権を剥奪され、やがては己の検事生命に関わる重大な決断を迫られる。基本的な流れは前作同様、捜査パートで情報を集め、対決パートで犯人を追い詰めていくというものだが、新システムとして制限時間ありのロジックチェスが登場、証言を渋る証人から的確な情報を引き出すための心理戦を繰り広げていくことになる。また、今まで存在は語られたものの直接的な出番がなかった御剣の亡き父にして敏腕弁護士・信の過去も描かれ、実際に弁護するシーンもあるなど、シナリオ面がかなり充実していて、2作目にして逆転検事シリーズの完成形をみた手堅い仕上がりとなっている。
本作の音楽を担当するのは岩垂徳行氏。逆転裁判シリーズには3以降、断続的に携わっている作曲家で、山田靖子氏との共作だった前作とは異なり、本作は全曲単独で作曲している。本作では冷静で理知的なものから激しく情熱的なものまで、バラエティ豊かな楽曲が揃っていて、シリーズおなじみの対決や追究のBGMはもちろんのこと、敵味方問わず登場人物ごとに固有のテーマ曲が用意されている。サウンドトラックはカプコンの公式通販サイト・イーカプコンにて限定販売されている。
対決パートのうち、犯人を追い詰めるクライマックスシーンで流れるのがこの曲である。追求(究)BGMといえばシリーズサウンドの顔だが、この曲はまさしくその大役を務めるにふさわしい絶頂の盛り上がりを誇る。怜悧な印象を与える前作の『追究 ~つきつめたくて』から一転、電子音とギターとが入り混じる熱いロックナンバーで、特にイントロは信のテーマ曲『御剣信 ~弁護士の心得』を下敷きにしているなど、ドラマチックなメリハリに満ちている。34秒以降は伴奏にピアノが加わり、さらに1分からはそのピアノが一定間隔で継続的に高音を鳴らすことで、次のループに備えてじりじりと緊張感と焦燥感を蓄えていく。かつてない逆境に立たされても、頑なに真実を追い求めるストイックな生き様を表現した一曲である。
逆転する爽快感と、信さんの遺志を受け継いで戦う昂揚感とが見事に絡み合っていて格好良いですね。『御剣信 ~弁護士の心得』、それから前作の『追究 ~つきつめたくて』(いずれも岩垂さんによる)もあわせてどうぞ。