VGM格納庫

Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を隔日更新で紹介します。

#1592 『World1-2』(Troupe Gammage/Mutant Mudds/3DS)

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Renegade Kidがおくるアクション・Mutant Muddsより、

Troupe Gammage作曲、『World1-2』。World1の偶数面で流れます。

主に携帯機向けの作品を手がけるアメリカの開発会社・Renegade Kidによるダウンロード専用ソフトとして登場した本作。突如襲来したMutant Muddsに対抗すべく、主人公の少年・Maxは水鉄砲を手に戦うことになる。5ワールド×4ステージの計20面から成る横スクロールアクションで、スーファミ時代を強く彷彿させるレトロでカラフルなデザインが目を引く。一見フラットな2Dに見えるが、3DSらしく奥行きの概念があり、手前・中間・奥の3つのレーンを行き来しながら進めていく。移動やジャンプ、水鉄砲の発射のほか、ジャンプ中にジェットパックで一時的に滞空するホバリングも可能である。すべてのステージに4通りのゴールと100個のダイヤが隠されていて、計20面といっても実質80面のボリュームで多彩かつ高難度なギミックを楽しむことができる。集めたダイヤで武器を強化する要素があるが、自機は終始3ライフ固定で回復手段がなく、ミスの重さは常に一定であることから、特に隠しエリアの攻略には武器の力とプレイヤーの腕前が必要不可欠である。総じてカジュアルな見た目で絶妙に手ごわい仕上がりとなっている。後にPCやWiiU、スイッチなどに移植され、日本国内では「マッドアタック!マックスVS泥々星人」という題が与えられた。

本作の音楽を担当するのはTroupe Gammage氏。アメリカ出身の作曲家兼声優である。ゲーム音楽に携わるのは本作が初めてで、本作以降はときどきインディー作品に楽曲提供しているようである。本作のレトロなグラフィックに合わせて音楽はクラシカルなチップチューンでまとめられていて、スーファミではなくファミコンに近い8bit風のご機嫌な楽曲が各種取り揃えられている。音色のしなりやエフェクトのかけ方などを工夫することで素朴かつ表現力豊かなサウンドを生み出している。サウンドトラックは移植版の追加曲も含める形でBandcamp経由で配信されている。

World1の偶数面、すなわち1-2と1-4面で流れるのがこの曲である。緑豊かな地上面で、まだ序盤だから比較的易しめだが、消える足場やトゲ地帯などの定番の罠が早くも出現する。そうしたなか、冒頭から溌剌と弾んだ調子で音色を細かく鳴らし、適度に柔らかく適度に刺激的な耳心地を感じさせる。イントロ明けの14秒頃からは伴奏では相変わらず細かく刻むが、主旋律は独自の伸びと艶を帯びながら気ままに音色を紡いでいく。27秒で華麗にアルペジオを決めてフレーズを締め括ると、続けてノイズを巧みに活用して一時的に勢いを抑えるが、その直後には何事もなかったかのように陽気な演奏をみせる。次に変化があるのは42秒以降で、低音のベースを下敷きにちょっぴりミステリアスでファンタジックな旋律が奏でられる。53秒から徐々に主旋律の音程が下がっていき、やがて1分~1分3秒でベースと被さると、それを合図にすぐさまループに突入する。癖になる躍動感がある一曲である。

この曲からはレトロな愛を感じますね。