山下絹代作曲、真型の『通常戦闘』(仮称)。通常戦闘(ロボトル)で流れます。
メダルで駆動するロボット同士で戦わせるメダロットシリーズのうち、初代のリメイクにあたる本作。愛犬が拾ってきたメダルがきっかけでメダロットを持つことになった勝気な少年・ガンマは、メダロット同士の対戦・ロボトルを通じてやがて世界征服を企む悪のロボロボ団と対峙することになる。基本的な物語や世界観は初代に、システムは弐COREをベースにしていて、多少の調整や改変、機体数の削減などはあるがほぼそのまま踏襲したつくりと言える。大きな変更点はキャラデザインで、シリーズの持ち味だった近未来的でクールなアニメ系のタッチから、カラフルでポップなカートゥーン系のタッチへと変貌している。機体のみならず人間キャラや画面構成もこの雰囲気で統一されていて、全体的なグラフィック表現は従来とはかなり毛色が異なる。また、要所要所にチュートリアルや新規ミニゲームが挿入され、説明不足だったりゲームバランスに難があったりするが追加要素として一定のメリハリをつけている。総じて見た目を中心にリニューアルを図った異色作に仕上がっている。
本作の音楽を担当するのは山下絹代氏。上田絹代名義でも知られるフリーランスの作曲家である。メダロットシリーズには初代から連綿と携わっているが、本作を最後として以降は未参加である。本作の音楽はリメイクだが初代からのアレンジを含まない全曲差し替えで、雰囲気の刷新に伴って楽曲の作風も影響を受けている。これまでのシャープでスリリングな色味が控えめになる代わりに、ゆとりのある曲調のものが目立つようになった。とはいえ一部の曲にはシリーズサウンドらしさが息づいていて、しっかりと情熱や力強さが宿ったサウンドを楽しむことができる。サウンドトラックは未発売のため曲名は便宜上の仮称とする。
通常のロボトル戦で流れるのがこの曲である。歴代で『ロボトルファイト!』と題される楽曲に連なるものだが、歴代でよくみられたアップテンポで焦燥感を煽る王道の雰囲気とは少々異なる響きがある。イントロから確かなスリルが感じ取れるものの、どことなくジャズめいた変化球っぽさがあり、どちらかというと悪役との戦闘曲を彷彿させる。賑やかで怪しげな主旋律を軸に、絶えずパーカッションがガンガン鳴ることで強いインパクトとグルーヴを生み出している。15~30秒で執拗に耳に残るフレーズを繰り返したあと、30秒からは伸縮性のある音色を取り入れ、鋭く小刻みな電子音とスネアドラムのロールを組み合わせながらじわじわと焦らしていく。45秒頃になるとインダストリアル感のある重厚なオーケストラヒットが聴こえるようになり、52秒で伴奏がふと途絶えてもオーケストラヒットが鳴り続けることで重厚さが保たれる。やがて1分6秒でようやく当初のフレーズに戻るかのような素振りをみせるが、似て非なるメロディーを紡いで最後までテンションを引っ張り、1分21秒でループに突入する。侮りがたいケレン味のある一曲である。
仮称でも『ロボトルファイト!』と呼んだほうが歴代の命名規則に沿いますが、なんだか『ロボトルファイト!』っぽい感じがしないんですよね。参考までに初代の曲をあわせてどうぞ。