インテリジェントシステムズがおくるボードゲーム・バックギャモンより、
馬場由佳作曲、『タイトル』(仮称)。タイトル画面で流れます。
同名のボードゲームをファミコンディスクシステム向けにゲーム化した本作。サイコロの出目に則って盤上の15個の駒を動かし、対戦相手より先にすべての駒をゴールへと導けば勝ちとなる。日本バックギャモン協会が監修を務めているだけあって現実のボードゲームのルールが忠実に再現されていて、初心者のための配慮も行き届いている。具体的にはCPU同士の対戦を観戦しながら用語やルールを教えてくれるデモンストレーション、ルール覚えたての状態でも実践形式で易しめのCPU対戦ができるトレーニングプレイモードが搭載されている。慣れてきた暁にはマッチプレイモードで5ポイントマッチ、11ポイントマッチ、得点制限なしのエンドレスマッチに挑めるほか、最大4試合の勝ち抜きトーナメント、さらにはⅡコントローラーを使えば2P対戦を楽しむことができる。総じてボードゲームをそのまま家庭用機に落とし込んだ手堅い仕上がりとなっている。
本作の音楽を担当するのは馬場由佳(現姓は辻横)氏と故・すぎやまこういち氏。馬場氏は当時インテリジェントシステムズに所属していた作曲家である。同年発売の初代ファイアーエムブレムと並んで、本作はキャリアの長い氏にとって最初期の担当作品にあたる。すぎやま氏は当時、日本バックギャモン協会の会長を務めていた縁もあり、本作では1曲のみゲストで楽曲提供している。本作の音楽は知的な盤上遊戯のイメージに沿ったシックなジャズテイストでまとめられているが、すぎやま氏の担当分に関しては非常に明るく親しみやすくクラシカルな曲調に仕上がっている。サウンドトラックは未発売のため、曲名は便宜上の仮称とする。
タイトル画面で流れるのがこの曲である。出だしからバランスよく聴き応えのある音色を重ねることで、非常に渋くスマートな雰囲気を感じさせる。主旋律の柔らかく奔放な音色で落ち着いたムード感を、小刻みに鳴るベースとノイズで小粋なテンポ感を生み出している。とりわけ11~13秒で短いフレーズを反復した後、14~18秒で長めに高音を響かせて絶妙な抑揚をつけている。しばらく主旋律が抜けると、ベースとノイズがちょうどよいテンションを維持しつつ淡々と間奏を紡いでいく。40秒あたりで区切りがつくとやがて冒頭に回帰してループに入る。なんとも冴えた聴き心地のある一曲である。
チェスとかオセロとか将棋とかは駒を持ってリアルで遊んだことありますが、バックギャモンって実際にやったことないかもしれません。