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#981 『トキタ戦』(倉田咲貴/高速カードバトル カードヒーロー/NDS)

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インテリジェントシステムズがおくるトレーディングカードゲームカードヒーローより、

倉田咲貴作曲、高速カードバトルの『トキタ戦』(仮称)。

トキタとの試合で流れます。

TCGを題材にしたゲームボーイカラー用のトレード&バトル カードヒーローの7年越しの新作として登場した本作。カードヒーローという遊びが大流行しているなか、中学生の主人公は、流行りもの好きの幼馴染・ハルカに誘われてカードヒーロー部を設立することになる。モンスターを召喚して戦うオーソドックスさ、自陣・敵陣合わせてたった10マスというコンパクトさ、戦略的な奥深さを兼ね備えたゲーム性はそのままに、新たによりシンプルでハイペースなルールとして、先に相手のモンスターを5体倒せば勝ちとなるスピードバトルが導入された。前作と比べて対戦面と操作面のテンポ感が上昇し、通常ルールとスピードバトルとで異なる駆け引きを楽しめるなど、遊びやすさ・遊び方の幅の両方が順当に向上している。ネット対戦にも対応していて、全国のプレイヤーと腕を競うこともできた(現在はサービス終了済み)。丁寧なルール解説も健在で、手堅く親しみやすい仕上がりとなっている。

本作の音楽を担当するのは倉田咲貴氏。当時インテリジェントシステムズに所属していた作曲家である。主に効果音を手がけることが多く、作曲担当でも複数人と共作になる傾向が強いが、本作に関しては単独で作曲している。前作(作曲は大久保高嶺氏)でみられた、ときに明るく、ときに情熱的な音楽性を継承しつつ、本作では二世代分のハードの進化を実感させる彩り豊かなサウンドが揃っている。なかにはジャズやチルアウト風のものや前作の楽曲のアレンジも存在する。サウンドトラックは未発売のため、曲名は便宜上の仮称とする。

トキタとのカードバトルで流れるのがこの曲である。トキタはやたらと不遜な自信家だが周りから適当にあしらわれがちな憎めないキャラで、自爆攻撃を用いた戦術の使い手である。キザったらしい雰囲気に合わせて、曲も小洒落たラウンジミュージックに仕上がっている。心地良い低音のウッドベースにピアノやビブラフォンの粋な音色が印象的で、26秒からラッパの主旋律が入ることで、スタイリッシュな空気感を目いっぱい漂わせる。48秒あたりで即興風のピアノが響き、次いでラッパやベースも自由自在なフレーズを紡ぐと、キャッチーでスリリングな恍惚感を生み出す。1ループ1分ほどのなかに聴き心地の良さと心躍る昂揚感を詰め込んだ一曲である。

試合曲はどれも思考の邪魔にならずに小気味良く盛り上がてくれるような、カードバトルらしい良曲揃いです。一条先輩の試合曲とかも、熱くて激しい感じと、聴きやすくてクールな感じのバランスが絶妙で素敵です。あわせてどうぞ。

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