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#1069 『大海原 探索中』(磯部文弘・木村嘉明・関河義人・村上聖・森下弘生/ペーパーマリオ オリガミキング/NS)

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任天堂インテリジェントシステムズがおくるアクションアドベンチャー

ペーパーマリオより、磯部文弘・木村嘉明・関河義人・村上聖・森下弘生作曲、

オリガミキングの『大海原 探索中』。紫テープを解放する前の大海原で流れます。

ペーパーマリオシリーズの6作目にあたる本作。世界をオリガミ王国に作り変えるようと企むオリー王にピーチ姫をさらわれたマリオは、オリーの妹で兄を止めようとする心優しいオリガミの少女・オリビアとともに野望に立ち向かうことになる。シリーズおなじみの紙で表現された世界観に、折り紙というコンセプトが加わったことで、ますますビジュアル表現が強化された点が特徴である。戦闘はマリオを中心に広がる円形のフィールドを回して敵を整列させる(基本的に整列状態の敵には一度のアクションで一斉に攻撃できる/攻撃力が上昇する)360°バトルというパズル要素の強いシステムを採用していて、ボス戦ではフィールドの回転に加えてパネル配置の概念が加わる歯応えのあるパズルが待ち受ける。カミの手と呼ばれる直感的なコントローラー操作に対応した謎解き、個性的な仲間との冒険、陽気なものからシニカルなものまで各所に散乱したネタ、キノピオ集めをはじめとする豊富なやり込み要素など、いろいろ詰め込んだ挑戦的な仕上がりとなっている。

本作の音楽を担当するのは磯部文弘氏、木村嘉明氏、関河義人氏、村上聖氏、森下弘生氏。関河氏、村上氏、森下氏はインテリジェントシステムズに所属する作曲家で、関河氏はペーパーマリオRPGから、村上氏と森下氏はスーパーシールから作曲に携わっている。磯部氏はISと関わりのある作曲家で、前作のカラースプラッシュにも参加している。木村氏はおそらくトーセ所属だと思われる。本作では世界中に伸びる紙テープを追って、森も山も砂漠も海も空の上へさえも旅することになるため、土地ごとに特色のあるサウンドが揃っている。また、戦闘曲は通常戦闘曲がエリアごとで異なるほか、ボス戦は気合の入ったロックナンバーなどが楽しめる。サウンドトラックは未発売だが、作中にサウンドギャラリーが存在する。

物語後半に訪れる大海原で流れるのがこの曲である。ボスを倒してテープを解放する前後で曲が変わるが、この曲は解放前、まだ攻略途中の段階で流れる。見渡す限りの青い海を船に乗って探検する様子を、イントロから非常に気持ち良い音色を響かせるバイオリンで瑞々しく彩る。弦楽器や木管楽器、鐘の音やドラムの明るく華やかな合奏が、ポジティブなエネルギーに満ちあふれた爽快感を醸す。52秒あたりで一際重く、威圧的とも言えるリズムを刻んでなお、朗らかな印象が覆ることはなく、次いで57秒から始まるフレーズは、さらに冒険気分を加速させるような響きを生み出す。加えて1分13秒から伸びやかな笛が奏でられると、ますます水平線の向こうまで探索したくなる気分にさせてくれる。大海原を探検する楽しさを聴いているだけでも感じ取れるような臨場感あふれる一曲である。

年明け一発目はワクワクする曲でいきましょう。ちなみに解放後の『大海原』は雰囲気が変わって豪華客船で流れそうな上品な曲です。あわせてどうぞ。

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