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Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を隔日更新で紹介します。

#555 『ギアアップフォー』(森下弘生/ファイアーエムブレム ヒーローズ/iOS・And)

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インテリジェントシステムズがおくるシミュレーションRPG

ファイアーエムブレムより、森下弘生作曲、ヒーローズの『ギアアップフォー』。

メニュー画面で流れます。

個性豊かなユニットを率いて戦場を駆けるファイアーエムブレムシリーズのうち、初のスマホ向け作品として登場した本作。プレイヤーは召喚師となって異界から歴代の英雄たちを召喚し、世界を救うべく共に戦うことになる。スマホの画面におさまる8×6マスのマップのもと、おなじみ三すくみの属性や地形を考慮しつつ攻略することになり、コンパクトながらもシリーズの戦闘の醍醐味が凝縮されている。キャラ同士の思惑が絡み合うオリジナルストーリーのほか、世界中のプレイヤーと疑似対戦してランキングを競う闘技場や、スキル継承などを通じて自分好みにユニットを強化する育成システムなど、どれも手堅いクオリティでまとまっていて、手軽に戦略性の高いバトルを楽しめる仕上がりとなっている。

本作の音楽を担当するのは主に森下弘生氏。インテリジェントシステムズに所属する作曲家である。シリーズには新・紋章の謎から参加していて、本作ではサウンドディレクターも務めている。本作はシリーズのお祭り的な要素が強いため、楽曲も過去作から持ってきているものが非常に多く、歴代の名曲をかわるがわる堪能できるようになっている。また、本作オリジナルの曲も物語の節目など要所要所で効果的に用いられていて、過去曲に引けを取らぬオーケストラ調の勇壮なサウンドが揃っている。森下氏以外にも、音楽制作会社デザインウェーブ所属の甲田雅人氏も一部作曲に携わっている。サウンドトラック等は当初は発売されていなかったが、後にサービス開始5周年を記念したメモリアルボックスに同梱された。

メニュー画面で流れるのがこの曲である。出撃前やキャラ育成のときなど、じっくり悩めば悩むほど長く聴くことになるが、そうした事態を見据えてか、フィドルと笛とバクパイプによる楽しげなハーモニーが、悩みを吹っ飛ばすほど軽快な気分にさせてくれる。終始伴奏に徹する木琴の音色は、その跳ねるような音使いで躍動感を演出し、ずっと聴いていても聴き飽きないような瑞々しさにあふれている。曲名のカタカナは英語に直すと「(~に対する)準備を整える」という慣用表現になり、出撃のための準備に奔走するプレイヤーたちの様子をずばり言い当てている。

風花雪月発売記念に(※記事執筆時)。スマブラのアレンジは森下さん本人のセルフアレンジで、テンポをあげてハチャメチャな戦闘曲に仕上げた陽気な一曲です。途中のピアノが入るあたりからの展開が面白くて、ループに至るまでの道のりには毎度すごく感心します。あわせてどうぞ。

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