ハドソンがおくるシューティング・ヘクター'87より、
国本剛章作曲、『HISTORY2/4/6』。偶数面で流れます。
ハドソン主催の全国キャラバン大会の認定ソフト第3弾にあたる本作。星暦4622年、過去の戦争で焼き尽くされた太古の地球を調査すべく時間旅行社の船団が旅立つも、謎のバイオメカに襲撃され、唯一生き延びた調査船ノア号が脅威に対抗しつつ謎の解明に挑むことになる。奇数と偶数面でスクロール方向が異なる全6面構成の縦横両スクロールシューティングである。通常のゲームモードのほか、キャラバンソフトでは恒例のスコアアタック用の2分間モード・5分間モードが本作で初搭載されている。太古と謳う通り、主な舞台はインカ帝国や邪馬台国といった古代文明で、質よく描き込まれたグラフィックのもとで自機やバイオメカたちが戦闘を繰り広げるSFならではのロマンが感じられる。自機の攻撃手段は二つ、対空用の光粒子砲と対地用のクラスター爆弾で、縦面ではどちらも上方向に発射するが対空・対地で攻撃判定が分かれ、横面では攻撃判定の区別はないが発射後の軌道が異なる。自機はあくまで調査船であるためか、船体(=当たり判定)が大きく移動速度が遅く、道中でのパワーアップ等も存在しない。一方で敵は固く火力も高く動きが機敏で、自機の性能不足と相まって全体的な難易度を引き上げているきらいがある。総じて難しいが練り込まれた仕上がりとなっている。
本作の音楽を担当するのは国本剛章氏。スタッフロール上ではキノコ国本名義でクレジットされている。80年代を中心にハドソン製の作品には頻繁に携わっていて、キャラバン系列だと前弾のスターソルジャーに引き続きの参加である。本作のサウンドは基本的には王道なシューティング寄りだが、曲によっては音色をメロディアスに敷き詰めたり妖しい高音を鳴らしたり、変則的にドラムを刻んだりして古代文明の異質さを表現している。全体的に勇ましさよりも切なさや不穏さが目立つものが多い。サウンドトラックは本作単体では未発売だが、他多数の作品と合わせてファミコン20周年記念盤のなかに本作の楽曲が収録されている。
2面「マヤ帝国」、4面「エジプト」、6面「邪馬台国」で流れるのがこの曲である。いずれも偶数面、横スクロールで展開するステージ群である。出だしからしっかりリズムを刻んで安定したノリを誇る伴奏に、高音を活かした潔いメロディーラインが鳴り渡るが、アップテンポな曲調とは裏腹にどこか悲哀を帯びたような響きがある。13~24秒あたりで耳に残るフレーズを何度か反復した後、25秒から一際悲しげな旋律を紡ぐことで、異形が闊歩する古代文明の荒廃ぶりを印象付ける。だが悲しいだけで終わらず、35秒からは徐々に明るく頼もしく使命感あふれる調べを奏でるようになる。1ループ47秒ほどの尺だが、曲のなかに山あり谷ありのドラマが感じられる一曲である。
1面の曲も格好良くてドラマがある感じがして好きです。あわせてどうぞ。