ハドソンがおくるシューティング・スターソルジャーより、
嶋倉一朗作曲、バニシングアースの『鳴動 (MISSION1)』。1面で流れます。
ハドソン主催の全国キャラバン大会で親しまれるスターソルジャーシリーズの派生作品にあたる本作。ミクロの機械・ゼオグラードの猛攻により壊滅的な被害に晒されるなか、特殊迎撃空軍・SIAは先の戦で活躍したソルジャーブレイドを基に開発したF98シリーズ後継機に人類の存亡を託すことになる。題名はスターソルジャーを冠しているが、物語や自機の背景設定はPCエンジンのソルジャーブレイドを下敷きにしている。全7ミッション、道中にボーナス面ありの縦スクロールシューティングで、2Dのゲーム性に3Dポリゴンのグラフィックを取り入れている。連射とスコア稼ぎを軸としたシリーズの肝を受け継ぎつつ、本作ではローリングという弾を跳ね返すバリアを張れる新システムが搭載されている。再使用可能になるまでのクールタイムはあるが、ローリング中のわずかな間は無敵になれるうえに跳ね返しによる追加点が入るため、使いどころ次第で効率的かつ貪欲に立ち回ることができる。撃たれる前に撃つ速攻の醍醐味に、撃たれたら跳ね返す反撃の駆け引きが絡み合うことで、従来とは異なるプレイフィールを示している。また、キャラバン作品おなじみの2分間・5分間で挑むスコアアタックが収録されている。総じて一見地味だがやり込むと独自色が感じられる仕上がりとなっている。
本作の音楽を担当するのは嶋倉一朗氏。当時ハドソンに所属していた作曲家である。本作の他にはスターソルジャーシリーズやキャラバンシューティングでの作曲経験はないようである。これまでのシリーズでみられた直球のスピード感とメロディーで攻める作風とは異なり、円熟した落ち着きと粘り強さのあるフュージョンやテクノ系のサウンドが揃っている。雰囲気こそ変わっているがシリーズサウンドの例に漏れず相変わらず上質な水準でまとめられている。サウンドトラックには一部楽曲のアレンジバージョンも含めて収録されている。
MISSION1「鳴動 RUMBLING」で流れるのがこの曲である。このミッションはネットワーク空間での戦闘シミュレーションにすぎないはずだったが、ゼオグラードのハッキングを受けて実戦同然の攻防を繰り広げることになる。イントロから20秒以上、サイバー感のあるフレーズの反復でじりじりと焦らし続け、23秒でにわかに破裂するようなパーカッションを鳴らすのを合図に本格始動する。エレキギターは参戦した途端に出力全開の豪胆な演奏を披露し、痛快なインパクトを生むが、39秒からはまた焦らしのフレーズに戻って勢いを蓄える。53秒でギターが合流するかと思いきや、ピアノともシンセともとれるような長く引き伸ばされた音色を奏でながら引き続き焦らしを利かせる。ギターが加わるのは1分7秒から、今度は主役としてではなく伴奏に近い立ち位置であえて似通ったリフを繰り返しながら機を窺う。やがて機が熟すと1分21秒であらためてガツンとギターが響き渡るが、このタイミングはちょうど曲のループ位置と同じであり、ループを見据えた曲構成と盛り上がりのピークがものの見事に噛み合っている。圧巻の牽引力に満ちた一曲である。
『襲来 (MISSION3)』も強くて好きですし『CARAVAN MODE (2 MINUTES)』のスカッとする格好良さも大好きです。あわせてどうぞ。