VGM格納庫

Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を隔日更新で紹介します。

#1435 『タイトル』(はっとりやすお/アタックアニマル学園/FC)

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ポニーキャニオンがおくるシューティング・アタックアニマル学園より、

はっとりやすお作曲、『タイトル』(仮称)。タイトル画面で流れます。

ファミコン3Dシステムに対応した疑似3Dシューティングとして登場した本作。アニマル学園連合に親友をさらわれたスケ番のノッコは、サブマシンガン片手に救出に向かうことになる。破天荒な世界観のもと、空飛ぶ女学生を操作して手前から奥へと進む全6面を攻略していく。スクロール速度は速いが自機の移動速度は遅めで、頼みの綱のマシンガンも初期状態では2連射までと心許ないが、道中の地蔵守護霊に触れることで連射数が増えたり移動速度が向上したりする。ステージによっては自機の服装が変わるほか、アニマルと戦っているのかと思いきや機雷だの焼き栗だの骸骨だのが矢継ぎ早に登場するなど、随所に珍妙なこだわりが窺える。また、前述の通り3Dシステムに対応しているため、専用のスコープを装着して3Dモードを選択すると立体視でプレイすることができる。総じて不思議な発想が詰まった意欲作に仕上がっている。

本作の音楽を担当するのははっとりやすお氏。情報がすくなく漢字表記は不明で、スタッフロールでは作曲(SOUND COMPOSE)以外にも本作のディレクターとしてクレジットされている。また、SOUND ARRANGE欄にOMAISANという名義の人物が記載されている。本作はこの当時の作品にしては楽曲の数が充実している点が特徴である。道中の曲は大きく分けて奇数面と偶数面で2種類、ステージごとに専用のアレンジが施されているほか、各面のボス戦には専用曲が設けられている。全体的にアップテンポでご機嫌な楽曲が揃っていて、ボス戦のなかにはシリアスなものもあるが明るめな曲調が大半を占める。サウンドトラックは未発売のため、曲名は便宜上の仮称とする。

タイトル画面で流れるのがこの曲である。冒頭から非常に分かりやすくリズムを刻んで、さながら運動会を連想させるような晴れやかで清々しい雰囲気を漂わせる。3秒頃から主旋律が入ると、短く区切った音色を勢いよく鳴らすことでチャーミングな疾走感を生み出す。一連のフレーズを奏で終えた後、16秒から流れを変えて綺麗に仕切り直そうとするが、22秒あたりで不穏な低音が響いて予期せず魔の手が迫る印象を与える。しかし30秒を過ぎると何事もなかったかのように再び愉快なフレーズを奏でるようになり、朗らかな響きを維持したまま最後は鮮やかに締め括る。起承転結が明確に備わった一曲である。

曲がこうだとタイトル画面だけで達成感が味わえますね。