VGM格納庫

Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を隔日更新で紹介します。

#1306 『Round 2-1』(松本達哉/エリミネートダウン/MD)

www.youtube.com

アプリネットがおくるシューティング・エリミネートダウンより、

松本達哉作曲、『Round 2-1』(仮称)。2面の前半で流れます。

メガドライブ中期のオリジナルシューティングにあたる本作。宇宙空間の歪みにより誕生し、膨張と増殖を繰り返す異形の生命体に対抗すべく、地球統轄軍の切り札である最新鋭のマルチフォーメーション戦闘機・スティーパイロンが出撃することになる。全8面構成の残機制横スクロールシューティングで、マルチフォーメーションと銘打つ通り自機には3種類の攻撃形態が標準搭載されている。形態によって上下、前方、後方のいずれかに向けたショットを放つことができ、ボムの類は存在しない代わりにこれらを適宜切り替えて攻略していく。道中のギミックや敵の配置を覚えて適切な武器で応戦する能力を問われる骨太さが特徴で、ポーズ画面経由で自機の移動速度を7段階から調整できる点も印象深い。また、本編とは別にコンフィグ画面からモグラ叩き風のミニゲームに挑戦することも可能で、取った点数が高ければ本編の任意のステージを選択して遊べるようになる。新奇性が高くない分、しっかりとジャンルの魅力を押さえていて、つくりの丁寧さが光る仕上がりとなっている。

本作の音楽を担当するのは松本達哉氏。スタッフロールではSOUND欄にてT・MATSUMOTOと単独でクレジットされていて、作曲に加えて効果音も手がけているようである。本作ではFM音源のメタリックな音色を派手に用いたヘヴィメタル系のけたたましいBGMが多く揃えられている。各ステージは中ボス戦を挟んで前半と後半に分かれているため、道中流れる楽曲はそれにあわせて8面×2曲で16曲も用意されていて、総曲数はだいぶ充実している。加えて、コンフィグ画面では作中のBGMや効果音を再生する機能がついている(ただし番号表記なので個別の曲名は判明していない)。サウンドトラックは未発売のため、曲名は便宜上の仮称とする。

2面の前半で流れるのがこの曲である。土星の輪の中を舞台とするステージで、前半はまだ土星が見えず殺風景な宇宙空間が広がるばかりだが、ときどき隕石(ショットで破壊可能)が飛来してくる様子は目を引く。出だしから威勢の良い曲ではあるが、冒頭の6秒ほどはまだすこしエンジンがかかり切っておらず、7秒以降でパーカッションが本格参戦することでさらなる勢いを帯びていく。主旋律が加わるのは15秒になってからだが、副旋律や伴奏の存在感は依然として強い。そのうえ、21秒や28秒などでは三連発で唸る音色が一際力強く響くため、主旋律よりも周囲の主張が激しい印象がある。29秒以降のパートは、一見それまでと比べて喧噪が収まるが、代わりに打楽器が休みなく刻まれることでまた違った騒がしさを感じさせる。50秒過ぎでループに突入し、再び激しい喧噪に包まれる。ガツンと脳裏に響く一曲である。

ちょっと前にもどこかの記事で引き合いに出した覚えがありますが、初代メガテンの通常戦闘曲と同系統のノリの良さですね。こういうタイプの曲は定期的に耳恋しくなります。

thytimes.hatenablog.com