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Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を隔日更新で紹介します。

#1447 『STAGE 1』(メカノアソシエイツ/シルフィード ザ・ロストプラネット/PS2)

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ゲームアーツがおくるシューティング・シルフィードより、

メカノアソシエイツ作曲、ロストプラネットの『STAGE 1』(仮称)。

1面で流れます。

疑似3Dによる映像美を押し出したシルフィードシリーズのうち、PS2向けに登場した本作。ザカリテ内戦から31年後、隕石に扮した未知の生命体が人類第11番目の移民惑星・ソロントに襲撃してきたことを受け、銀河連邦軍の戦術宇宙攻撃機シルフィードが出撃することになる。全6面構成の縦スクロールシューティングで、シリーズの特徴であるグラフィックの美麗さは本作でさらに磨きがかかっている。リアルタイムポリゴンで多彩に変化するステージ背景や、画面中を滑らかに動く自機や敵機、ステージ間の戦況説明など、見た目や演出面には光るものがある。自機には左右それぞれに武器を装備することができ、開始時は2種類だがスコアに応じて最終的には9種類まで選択できるようになる。敵機に近ければ近いほどスコア倍率が上昇するメガレートシステムが搭載されていて、これに合わせて自機の速度や弾速は遅めに設定されているほか、緩急をつけるためか道中では敵が出現しない待ち時間がそこそこ存在する。ゲームテンポは鈍めだがダイナミックな映像を楽しめる仕上がりとなっている。

本作の音楽を担当するのは有限会社メカノアソシエイツの面々。具体的にはKass(笠谷文人)氏、Satomari(さとうまりこ)氏、Sonoda(園田容子)氏、Tomy氏がクレジットされている。メカノアソシエイツはシルフィードシリーズに頻繁に携わっていて、笠谷氏は初代のPC88版から、さとう氏や園田氏はメガCD版から引き続き担当している。重厚な映像に見合うように、本作ではオーケストラとシンセを融合させた濃密で壮大で、ときに神秘的なサウンドが揃っている。サウンドトラックは未発売のため、曲名は便宜上の仮称とする。

1面で流れるのがこの曲である。正体不明の敵に対抗すべく惑星から飛び立ち、英語の無線ボイスを聞きながら迫りくる敵を迎撃することになる。そうしたなか、手始めにいかにも宇宙らしい印象を帯びた綺羅やかな音色を鳴らして、開始早々から強く惹き付けられるような聴き心地を生む。その直後、2秒から高速のドラム捌きが、3秒からエレキギターが、4秒からシンセブラスが相次いで加わることで、勢いに乗って加速度的に盛り上がっていく。15秒からのギターが主旋律を担うようになると、その裏でブラスが凛々しく吼え、伴奏には例の綺羅やかな音色が鳴り続ける。37秒あたりからギターが抜けてオーケストラ色が強まり、壮大で不穏な演奏を披露しながらテンションを蓄えていく。58秒から再びギターが入ると、高まったテンションを発散させるかのごとく荒々しい展開をみせるが、そうこうしているうちに間を置かずにループに突入する。全編を通して畳みかけるような激しさがある一曲である。

推進力とか牽引力とか、そういうぐんぐん進む感じが伝わってきて良いですね。