VGM格納庫

Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を隔日更新で紹介します。

#1354 『Steel Of destiny』(九十九百太郎/サンダーフォースV/SS)

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テクノソフトがおくるシューティング・サンダーフォースより、

九十九百太郎作曲、5の『Steel Of destiny』。5面で流れます。

テクノソフトの代表作であるサンダーフォースシリーズのナンバリング5作目にあたる本作。22世紀を舞台に、現行の技術力を凌駕する戦闘兵器・Vasteelが地球外で発見され、Guardianと名付けられた人工知能によって管理、研究を進めていたところ、突如としてGuardianが人類に反旗を翻したため、これに対抗すべく特殊戦闘機部隊・Thunder Forceが出撃することになる。映像や演出は3D、実際の操作やゲーム性は変わらず2D横スクロールシューティングというハイブリッドなつくりを特徴とする。全7面構成で、ステージデザインとシンクロした音や演出に加え、条件次第でエンディング分岐するなど、攻略の没入感を高める要素が多く詰め込まれている。武装は5種類あり、使い勝手に偏りがあるものの、前方・後方・貫通など一通りの性能が揃っている。これらの武装を、補助装備のクローの耐久力と引き換えに一時的に超強化するオーバーウェポンという新システムが搭載されていて、ガンガン攻める派手で爽快なプレイングを楽しむことができる。また、敵を素早く撃破することでスコア倍率が高まるハイテンポボーナス、敵弾や障害物にカスることで加点されるスクラッチボーナスなど、スコア稼ぎに関わる新要素も追加されている。総じて非常に豪快な仕上がりとなっている。後にPSに移植された。

本作の音楽を担当するのは九十九百太郎氏。PS版の追加曲は廣瀬祐一氏が作曲している。いずれも当時テクノソフトに所属していた作曲家である。サンダーフォースシリーズの作曲は本作が初参戦で、先達の築き上げたシャープなロックサウンドを受け継いで強化した、血が滾るような情熱的な楽曲が揃っている。過去作のアレンジや一部フレーズの引用なども取り入れていて、それがステージのコンセプトや進行状況ともマッチすることで強い存在感を放っている。サウンドトラックについては通常盤のほか、後年にテクノソフト製の作品群をまとめたテクノソフトゲームミュージックコレクションの一環としても発売されている。

5面「Judgment Sword」で流れるのがこの曲である。雲を突っ切って地球を飛び出し、敵本拠地を目指して進むことになる。ここで専用のシールドゲージが現れ、尽きた暁には自機が新調されるという重要なシーンがあるため、かなり演出面で凝ったステージであるといえる。手始めにドラムスティックでカウントを取り、続いて分厚いギターとミステリアスなシンセが響き合うことで、非常に迫力満点なイントロを披露する。この間、自機は大気圏を突破するために支援ユニットと空中ドッキングする様子が描かれ、実際にプレイヤー操作を受け付けるのは27秒頃からとなる。メインメロディーが入るのは33秒以降と遅めだが、一連の演出との嵌まり具合のおかげで遅く感じるどころか、ちょうどよく気合が充填されて機運を盛り上げてくれる。ギターやオーケストラヒットを伴いながら精一杯力強く疾駆するなかで、サビ直前の1分10秒あたりと重なるようにしてステージの背景に巨大な剣の形をした機構がよぎり、来るサビに向けてテンションを最高潮まで引き上げる。サビでは主旋律の裏で、イントロでみられたミステリアスなシンセのリズムパターンが絶えず鳴っていて、熱く激しく、なのにどこかやるせないような絶妙な悲壮感を漂わせる。サビ終了直後、ぴったり2分でループに突入し、切れ目なく勢いを維持し続ける。偉大な一曲である。

敬服する格好良さですね。一応念のためですが、曲名のdestinyが先頭小文字なのはサントラに則った表記です。