VGM格納庫

Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を隔日更新で紹介します。

#1093 『Dark Side Requiem -Death Face's-』(大谷智巳/サンダーフォースII MD/MD)

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テクノソフトがおくるシューティング・サンダーフォースより、

大谷智巳作曲、2MDの『Dark Side Requiem -Death Face's-』。

8面で流れます。上記動画の22:51から25:33まで。

テクノソフトを代表するシューティング・サンダーフォースシリーズのうち、X68000向けに登場した2作目の移植にあたる本作。オーン帝国の超兵器・戦闘要塞プレアレオースにより惑星一つが消滅する壊滅的な被害を受けた銀河連邦は、プレアレオースを破壊すべく立ち向かうことになる。前作でおなじみのトップビュー型の全方向任意スクロール面と、新たに導入されたサイドビュー型の強制横スクロール面が交互に並ぶ構成が特徴である。全9面の残機制(スコアに応じて残機が増える仕組み)で、アイテムを取得することで自機を強化できるパワーアップ要素があるが、ミスすると自機はデフォルトの状態に戻される。移植に際して原作にあったステージが部分的に省略されたり、一部の機能が縮小されたりしているが、骨太のバランスとパワフルなグラフィックは健在で、メガドライブ初期の良質なシューティングに仕上がっている。

本作の音楽を担当するのは大谷智巳氏。当時テクノソフトに所属していた作曲家である。サンダーフォースシリーズに携わるのは本作が初めてで、3でも引き続き作曲している。本作ではメタリックな音色をうまく活かした迫力満点な楽曲が揃っていて、X68k版原作をほぼ忠実に再現しつつ、音源の違いでやや聴いたときの感触が異なる。また、原作にはない新曲が追加されている。サウンドトラックはMD版の楽曲を収録したものが2014年に一度登場している(一部未収録曲がある)ほか、2022年に初代やX68k版の音源も含めて新規にデジタル録音されたものが発売される。

MD版の追加曲として、8面で流れるのがこの曲である。遺跡内部を進む横スクロール面で、赤い背景に金の装飾というけばけばしい見た目に違わず、イントロからゴングを打ち鳴らしているかのような派手な重低音が響き渡る。伴奏が重く騒がしいのに加え、主旋律もうねりの効いた音色を奏でることで、思わず気後れしそうになるほどの圧迫感を生み出す。20秒ほど経過したあたり(23:13)で主旋律が本格始動すると、ぐんぐんと先へ進んでいく前のめりの疾走感を漂わせる。一連のフレーズが終わるとしばらく伴奏が主体となり、ややあってサビ(23:35)に到達すると、重々しいどころか軽快にすら感じられるメロディーによって、重厚感のみならず今度は勢いに圧倒されそうな印象を与える。サビの後には再度伴奏の見せ場が待ち構え、ループ直前には音が急降下してだしぬけに締め括る。戦慄を催すような凄みに満ちた一曲である。

この曲を紹介してほしいというリクエストをいただきました。なんというか、変幻自在の格好良さがありますね。