サンボーンがおくる育成&戦略シミュレーション・少女前線(ドルフロ)より、
G.K作曲、『Mind Hack』。深層映写のランキング戦で流れます。
中国の開発会社・サンボーン(上海散爆)の代表作で、日本語版の名称「ドールズフロントライン」でも知られる本作。第三次大戦後の荒廃した世界を舞台に、民間軍事会社・グリフィン&クルーガーに所属する指揮官の主人公は、少女の外見をした機械生命体・戦術人形を率いて各地の秩序を守ることになる。銃器を擬人化した美少女たちを製造し、育成し、部隊を編成して任務を遂行するアプリ用のストラテジーゲームである。ハンドガンやライフルなど武器種によって得意分野が異なるため、任務に応じて適切なユニットを、3×3マスの陣形のなかに適切に配置することが攻略の肝となる。戦闘では基本的に自動で進行するが、任意のタイミングでスキルを発動させたりドラッグ操作で陣形を変えたりすることができる。萌え擬人化という題材のもと、硬派な戦略性を堪能できる仕上がりとなっている。
本作の音楽を担当するのはB@kamin氏、D.Yi氏、Dr.RD氏、G.K氏、Haloweak氏、RabbitJ氏、金田充弘氏、千葉梓氏、東原一輝氏、渡邊里佳子氏。B@kamin氏は韓国の音楽レーベルSQUARE MUSIQに、それ以外のアルファベット表記のメンバーは上海の音楽制作会社Vanguard Soundに、漢字表記のメンバーは日本国内の音楽制作会社ベイシスケイプに所属する作曲家である(千葉氏と東原氏は退社済み)。このうちG.K氏は本作のサウンドディレクター兼メインコンポーザーである。ハードな世界観にあわせて、テクノやエレクトロ系の感情を抑えたクールな楽曲が多く揃っているほか、ボーカル入りのテーマソングなども存在する。サウンドトラックは現在までに2種類発売されている。
2019年の大型イベント「深層映写」のランキングマップ・虚数迷宮で流れるのがこの曲である。ランキング戦はマップ攻略で算出される点数を不特定多数の参加者と競い合う要素である。高得点を狙うべく最適な立ち回りを意識して臨む場面を、イントロからスリリングに響く弦楽器の音色で鮮やかに印象付ける。17秒からは弦がすこし息を潜め、ピアノと電子音が主導的な役割を担うようになるが、46秒頃には鐘の音などを交えながら管弦楽器の勢いが増していく。オーケストラはあくまで伴奏に徹するものの、その存在感は曲が進むにつれて強まっていき、2分15秒頃にはピアノが奏でる主旋律の裏で、再び弦が高らかに響き渡る。オーケストラと電子音楽の双方をうまく絡み合わせることで、劇的な昂揚感と理知的な緊迫感を同時に刺激する一曲である。
じっくり戦略を吟味して挑むシチュエーションにぴったりですね。作曲家のインタビュー記事(本作に関すること以外にもいろいろ)が面白いので、よろしければぜひ。