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#1702 『Steel Haze (Rusted Pride)』(星野康太/アーマード・コアVI ファイアーズ・オブ・ルビコン/PS4・PS5・XOne・XX|S・PC)

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フロムがおくるメカアクション・アーマードコアより、

星野康太作曲。6の『Steel Haze (Rusted Pride)』。

ミッション「カーマンライン突破」のラスティ戦および「動力ブロック破壊」で流れます。

傭兵となって人型メカを駆るアーマードコアシリーズのナンバリング6作目にあたる本作。コーラルと呼ばれる新時代のエネルギー源が発見された辺境の開発惑星・ルビコンを舞台に、無名の強化人間C4-621は独立傭兵となって勢力間の利権をめぐる抗争に巻き込まれ、やがて星の命運を握ることになる。ナンバリング前作から10年ぶりの新作で次世代ハードの表現力とカスタマイズの奥深さ、ミッションを通じて描かれる物語性や世界観描写が強調されている。ブリーフィングや戦闘中の会話、分岐や周回による差分など、一見淡々としているが濃密さと独自性のある台詞回しと演出が印象的である。パーツの組み合わせや武器選びの醍醐味を描くにあたって、本作では初見殺し的なステージやボスが要所要所に据えられ、任務前のアセンブルと任務中のパターン構築の両軸での試行錯誤が攻略の肝となる。通常の戦闘任務だけでなく探索や別勢力との共闘などシチュエーションに幅があり、メインのキャンペーンモード以外にも1対1のアリーナ、オンラインに繋げば対人戦も可能である。総じてシリーズの魅力を受け継ぎつつさらに骨太に昇華させた仕上がりとなっている。

本作の音楽を担当するのは小野寺崇氏、星野康太氏、宮澤翔衣氏。いずれもフロムに所属する作曲家である。このうち星野氏は20年以上にわたってアーマードコアシリーズに携わり続けているシリーズサウンドの要とも言える立ち位置だが、小野寺氏と宮澤氏はシリーズ初参戦である。特に小野寺氏に関しては同社のソウル系列の作品でサウンドデザイナーとして支えてきた経験はあるが、作曲という観点ではおそらく本作がデビュー作である。本作ではオールドSFというコンセプトに沿った淡泊なアンビエントやエレクトロ系の楽曲が揃っていて、比較的主張のすくない静かで剣呑な雰囲気のものが多い。そのなかでピンポイントで盛り上がるスピーディーなトランスやパワフルなボーカル曲を織り交ぜることでメリハリをつけている。サウンドトラックには本作の楽曲に加え、アレンジや書き下ろしなどを収録したボーナスディスクが付属されている。

ミッション「カーマンライン突破」のラスティ戦および「動力ブロック破壊」で流れるのがこの曲である。本作の序盤の転機であるミッション「壁越え」などで用いられる『Steel Haze』のアレンジで、共に死線を乗り越えた戦友であるラスティのテーマ曲にあたる。「カーマンライン突破」「動力ブロック破壊」はいずれも終盤のルート分岐後、物語の行く末を決定づける重要な任務であり、ラスティは前者では殲滅すべき敵機として、後者では背中を預ける僚機として現れる。そうした象徴的なシーンを彩るにあたって、緩やかだが不穏なイントロで始まり、シンセブラスやエレキギターが分厚く重なり合いながら機運を高めていく。やがて30秒過ぎで主旋律が本格始動すると、あえて潰れて爛れたような不明瞭なボーカルが入る。ボーカルは星野氏自身が、コーラスは宮澤氏が担当していて、唸り狂うオーケストラとギターとオルガンのさなかにあって独特な威容を放つ。さながら映画音楽のような圧迫感があるが、メロディーは掴みどころがなく、実際に作中で響くメカの駆動音や銃撃音、無線の台詞と合わさることで真価を発揮するような構成になっている。2分3秒以降、心音の如く激しく高鳴っていくパートへは作中の戦闘状況に呼応して切り替わる仕組みで、いよいよラストスパートに迫っているのだと直感させてくれる。曲が進むにつれて綺麗事では語れない、切実な覚悟と矜持が滲み出てくるかのようである。沸々と煮え滾るしたたかさが感じ取れる一曲である。

この曲を紹介してほしいというリクエストをいただきました。燃え盛るよりも煮え滾る感じが強くて良いですね。アレンジ元の『Steel Haze』、宮澤さんによるサントラボーナスアレンジの『Steel Haze (Where Truth Meets)』もあわせてどうぞ。

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