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Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を隔日更新で紹介します。

#1494 『my world』(アサノハヤト/BLUE REFLECTION SUN/燦/iOS・And・PC)

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ガストがおくるヒロイックRPG・ブルーリフレクションより、

アサノハヤト作曲、SUN/燦の『my world』。通常戦闘で流れます。

女子高生たちの青春を描くブルリフシリーズのうち、EXNOA(DMM GAMES)との共同体制でアプリ向けに登場した本作。世界に灰が降り始め、死に至る灰病と異形が蔓延る現代を舞台に、男子高生の主人公は、灰病に侵されることで異能を得た少女たちが集う日ノ杜学園で部隊を率いて滅びの運命に抗うことになる。これまでの作品と物語や世界観は繋がっているが、退廃的な雰囲気を色濃く押し出しているうえに、あえてプレイヤーの分身となるシリーズ初の男性主人公を採用している点が特徴である。ゲームサイクルは非常にオーソドックスで、主な流れとして部隊を編成し、クエスト形式で物語を進め、敵味方の行動順が入り乱れるターン制コマンドバトルをこなしながら、キャラや各種カードを育成・強化していく。これに加えて少女たちとおでかけして親睦を深める交流要素があり、主人公の存在や特殊な舞台設定と相まって従来の作品とは違った切り口やシチュエーションで少女たちの素顔を垣間見ることができる。UIの使い勝手やイベントの運営まわりで粗がみられるものの、ニッチさと王道さを備えた仕上がりとなっている。

本作の音楽を担当するのはアサノハヤト氏。フリーランスの作曲家で、かつてガストに所属していた頃は漢字表記の浅野隼人名義で活動していた。ブルリフシリーズには初代から連綿と携わっているシリーズサウンドの生みの親である。本作でもアートコア系を軸とした爽快なサウンドが揃っていて、クリーンなピアノやストリングスにノイズやグリッチ、なかにはラップを取り入れたものもある。また、過去作から流用されている曲もすくなくない。サウンドトラックは本作単体では未発売だが、ガスト30周年記念CD-BOXのなかに本作の一部楽曲が収録されている。

通常戦闘で流れるのがこの曲である。曲調、ノリ、音色選び、メロディーの運び方、どれをとってもブルリフらしさにあふれていて、違和感なく戦闘に入り込むことができる。出だしから惜しみなくピアノとエフェクトを用いて鮮やかに駆け抜けていき、19秒からバイオリンが参戦すると伸びやかで爽やかな印象を目一杯漂わせる。29秒からアグレッシブなビートを伴ってドライブ感が増していくが、バイオリンが一連のフレーズを奏で終えてピアノにバトンを渡す際には一旦落ち着いた調子に戻る。ピアノのメロディーの裏で48秒からバイオリンが優雅な演奏を披露し出すと、次第にエネルギーが溜まっていき、57秒を境に一気に発散して圧倒的なカタルシスをもたらす。旋律の美しさとテンポ感の小気味良さが組み合わさって、日頃の鬱憤も滅びの定めもまとめて吹き飛ばすような絶頂の勢いを感じさせてくれる。一瞬一瞬に全身全霊が詰まった一曲である。

もうすぐサービス終了する前に紹介しておきたかった曲です。ボス戦もおすすめです、すごくパワフルでドープなラップです。あわせてどうぞ。

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