コナミがおくるバイクレースゲーム・モトクロスマニアックスより、
関戸剛・山根ミチル作曲、『BGM4』。コース1と5で流れます。
コナミ製の初のゲームボーイ作品としてハードの黎明期に発売された本作。競技用バイクのモトクロッサーを駆って、それぞれ3段階のレベルが用意された8つのコースを走り抜けることになる。2Dサイドビュー型のレースゲームで、起伏やギミックに満ちたコースを制限時間内に2周して完走することが目的である。操作は十字ボタンによる車体の制御と、アクセルボタン、瞬発的に加速できるニトロボタンから成る。ニトロは専用のアイテムを拾うと使えるようになり、坂道などで噴射すると勢いに乗じてジャンプすることができる。車体の制御は主にジャンプして空中にいるときに重要となるテクニックで、前傾で低めに飛んで右回転、後傾で高めに飛んで左回転（地上にいるときはウィリー）を決めることができる。これらのテクニックが存分に活かせるようにコース設計はアスレチック要素が強く、空中に道路があったり壁があったり、大胆なループが配置されていたり、砂地や岩石が行く手を阻んだりする。一見するとレースよりもアクションに近いつくりだが、単独走行のソロモードの他にCPUやプレイヤー同士で競争するVSモードも搭載されている。総じてシンプルながら熱中できる仕上がりとなっている。
本作の音楽を担当するのは関戸剛氏と山根ミチル氏。いずれも当時コナミに所属していた作曲家である。本作にはスタッフロールがなく正確な情報が掴みにくいが、一説によると当時新人だった関戸氏がゲームオーバーのジングルを除いてすべて作曲したらしい。関戸氏のみならず山根氏にとっても本作はキャリア開始後まもない作品である。本作では短いジングルを除くと5曲（セレクト画面の1曲＋コースBGM×4曲）用意されていて、適度にモチベーションを刺激してくれるアップテンポでクールな楽曲が揃っている。サウンドトラックについては、続編の2（海外のみ発売）とあわせて収録されたものが各種デジタルストアで配信されている。
コース1と5で流れるのがこの曲である。コースの攻略順序は設けられておらず、最初からすべてのコースを選べるが、順当に進めるならコース1は開始直後、コース5はちょうど折り返し地点に該当する。そうしたシチュエーションに合うように、この曲は門出を祝うような清々しい雰囲気にあふれている。冒頭6秒間のイントロで勢いを蓄えて準備を整えると、以降は終始畳みかけるように高音を鳴らして明るく溌溂とした聴き心地をもたらす。躍動感たっぷりに響く高音パートと並行して、ベースが短く細かく素早く音色を奏でることで、両方組み合わさった相乗効果でさらに軽やかで疲れ知らずな印象を与える。とりわけ28～30秒や54～55秒で派手にハーモニーを成すくだりは非常にインパクトがあり、57秒からラストスパートに入って駆け抜けていくさまは聴いていてとても気持ちが良い。すこぶる好調な勢いに満ちた一曲である。
この曲を紹介してほしいというリクエストをいただきました。続編の2でもこの曲がアレンジ収録されていて、音がパワーアップしてだいぶ重厚な感じになってます。こちらもスタッフロールの都合上、個別の役職なし・名前はイニシャルで正確な情報が掴みにくいですが、Y・KITGAWA（北川保昌さん？）が編曲を手がけた可能性があります。スタートジングル入りであわせてどうぞ。
