VGM格納庫

Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を隔日更新で紹介します。

#1496 『In Sequence』(金子憲次/圧倒的遊戯 ムゲンソウルズ/PS3)

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コンパイルハートがおくる圧倒的RPG・ムゲンソウルズより、

金子憲次作曲、『In Sequence』。金耀界で流れます。

圧倒的美少女絶対神の破天荒な冒険を描くムゲンソウルズシリーズの第1作にあたる本作。七色に輝く七耀界から成る小宇宙を舞台に、記憶喪失だが業突く張りな女神・シュシュは、萌えの力で世界のすべてを征服すべく旅立つことになる。萌えを軸としたハチャメチャな世界観と、育成から戦闘まで大胆にインフレしたゲームバランスが特徴である。主人公はツンデレや清楚、天然など8つの姿に変身する力を持ち、萌え属性口説き文句をうまく組み合わせれば相手を萌え殺すことができる。萌え殺しは探索と戦闘の双方で活用できるテクニックで、フィールド上なら先に進むための手段として、戦闘中なら敵を下僕にしたりアイテムに変えたりする手段として重宝する。戦闘は行動順に応じてフリーラン形式で位置取りして戦うコマンド制を採用している。範囲内の敵をまとめて萌え殺す戦法や、経験値や金が大量入手できるフィーバータイムが存在し、さらに通常戦闘だけでなく戦艦同士のバトルもある。その他、温泉での触れ合い、キャラメイクと能力開発、やり込み用の連戦フィールドなど、種々様々な要素が搭載されている。全体的に処理が重く粗削りなところがあるが、コンセプトに沿って詰め込んだ意欲作に仕上がっている。後にスイッチに移植された。

本作の音楽を担当するのは金子憲次氏と佐藤天平氏。金子氏はアイディアファクトリーコンパイルハートの親会社)に所属する作曲家で、佐藤氏はフリーランスである。ボーカル曲にはゆいかおり(声優の小倉唯氏と石原夏織氏によるユニット)、シンガーソングライターの山本美禰子氏、霜月はるか氏らを起用している。本作は作風や絵柄が日本一ソフトウェアディスガイアシリーズに近いところがあり、実際に音楽担当の佐藤氏も含めて開発スタッフの一部が共通している。とはいえ魔界と七耀界で雰囲気が異なるうえ、金子氏が過半数の楽曲を担当していることから、音楽の方向性は似て非なるものである。煌めきを湛えたファンタジー系や民族系のオーケストラサウンドが多く揃っている。サウンドトラックは2枚組で、主題歌は除くがOP・EDテーマを含む形で収録されている。

金耀界で流れるのがこの曲である。曜日を模して日耀から始まって土耀まである七つの世界のうちの一つであり、比較的後半に訪れることになる。高度な科学技術を誇る機械文明であり、今まで訪れてきた王道ファンタジー風世界や和風世界、灼熱世界とはだいぶ毛色が異なる。それにあわせてこの曲は出だしから怪しげな電子音を用いることで一際SFチックな雰囲気を感じさせてくれる。14秒からシンセが本格始動すると、鮮やかであると同時に非常に焦燥感のある一触即発のムードを生み出す。しばらくテンションを溜め続けた後、41秒になるとこれまで醸成してきたムードを保ちながらノイジーでアグレッシブな音色を披露する。主旋律らしきフレーズが入るのは55秒からで、クールなベースやスリリングなシンセストリングスを伴いながらキャッチーなメロディーを紡いでいく。1分22秒以降、派手でけたたましい音色と抑えめで煌びやかな音色を交互に繰り返していくパートを挟んだ後、1分50秒から徐々に流れが変わる。2分3秒で予期せず未知の領域に到達してしまったかのような危機感あふれるフレーズが聴こえ出し、2分半以降でもう一段階プレッシャーが増す。いよいよ予断を許さない印象が強まるが、2分58秒で元の軌道に戻ってループに入る。恐ろしく緊迫感のある一曲である。

とても良いサイバー感が漂っていて好きです。