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#863 『続、肉ヲ斬ラセテ骨ヲ絶テ』(杉浦勇紀/Death end re;Quest2/PS4)

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コンパイルハートがおくるRPG・デスエンドリクエストより、

杉浦勇紀作曲、2の『続、肉ヲ斬ラセテ骨ヲ絶テ』。通常戦闘で流れます。

コンパイルハート製のガラパゴスRPGの一環として登場した、バッドエンド塗れのDeath end re;Questの続編にあたる本作。前作の並行世界を舞台に、父を殺した孤児の少女・東山まいは、生き別れの妹がいるはずの女子寮・ワーズワースに入寮するも妹は見つからず、相次ぐ不可解な失踪事件に翻弄されながら、真相の解明を目指すことになる。グロ描写の多い世界観はそのままに、前作と比べてより現実離れしたゴシックホラーサスペンス的な色合いが強まった。死亡エンドの数が減少した分、扇情的な恐怖演出が増加したほか、戦闘面では前作のノックバグ(敵を派手に吹き飛ばすシステム)に代わり、さらに長く、遠くへ、豪快に吹き飛ばせるスーパーノックバグが導入された。尖った作風が受け継がれた仕上がりとなっている。後にSteamにも移植された。

本作の音楽を担当するのは金子憲次氏、杉浦勇紀氏、田中清志氏。金子氏と田中氏は開発元に所属する作曲家で、杉浦氏は音楽制作会社スタジオエデンの代表である。杉浦氏と田中氏は前作でも作曲経験があり、なかでも杉浦氏は前作に引き続き主導的な立場でミュージックデザインを手がけている。オカルティックでサイバーパンクな印象が強かった前作と比較して、浮世離れしたファンタジックな雰囲気が強調されたことを受けて、音楽面でもデジタル・オルタナティブ路線からゴシック・シンフォニック路線へとやや変化が見られる。サウンドトラックは限定盤に同梱されている。

通常戦闘で流れるのがこの曲である。曲名通り、前作の通常戦闘曲『肉ヲ斬ラセテ骨ヲ絶テ』(同じく杉浦氏による)の系譜を辿る疾走感あふれるロックナンバーで、荒ぶるシンセとピアノの協演が、不気味だけど美しい、穏やかならぬ爽快感を生み出す。流麗なピアノと、ハードコア風の激しいドラムビートとが重なり合って、退廃的な憂いと殺人的な勢いが見事に両立している。1分9秒からはピアノのクリーンノートが響くなか、束の間だけ伴奏にくぐもったようなエフェクトがかかり、曲全体を貫く不穏な緊張感にさらに磨きをかける。猟奇的な凛々しさに満ちた一曲である。

前作の通常戦闘曲もそうですが、相変わらず曲名の字面が物々しく、曲そのものもその物々しさに恥じぬ殺伐とした雰囲気が出てますね。『肉ヲ斬ラセテ骨ヲ絶テ』もあわせてどうぞ。

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