VGM格納庫

Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を隔日更新で紹介します。

#1497 『STAGE2』(佐藤剛/バルクスラッシュ/SS)

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ハドソンがおくる3Dアクションシューティング・バルクスラッシュより、

佐藤剛作曲、『STAGE2』(仮称)。2面で流れます。

銀河府警伝説サファイアなどで知られるCAプロダクションが開発した本作。先の惑星間戦争で敗北した惑星ブラウが戦勝した連合政府による厳しい制裁と差別に晒されるなか、ブラウ復権を目論むクーデターが勃発、ブラウ出身の少女・リーゼンを幼馴染に持つ連合政府軍の青年・クレスは、リーゼンも参加するクーデターを鎮圧すべく戦うことになる。80年代ロボットアニメ風の世界観とビジュアルが印象的な、ストーリーとキャラを重視した3Dシューティングである。全7面構成、クリア条件に則って奥行きのあるステージを駆け巡るミッションクリア形式を採用していて、自機は二足歩行のロボット形態と飛行可能な戦闘機形態に変形できる。特筆すべきはヒロインの充実ぶりで、各ステージに一人ずつ、計7人登場し、好きな子を選んでナビ役として自機に同乗させられる。後輩軍人や売れっ子アイドル、女泥棒など、個性豊かな顔ぶれがボイス付き・アニメーション付きでアシストしてくれる。敵撃破や被弾状況に応じて好感度が上下し、発言内容や距離感に変化が生じるほか、ヒロイン別にエンディングが設けられているため、題材は重いが作風は軽いメカシューティング×ギャルゲーの楽しさを味わえる。3Dポリゴンはやや粗めだが操作性やゲームバランスは概ね良好で、しっかり遊べる仕上がりとなっている。

本作の音楽を担当するのは佐藤剛氏。音楽制作会社T's MUSIC所属の作編曲家で、佐藤タケシ名義でも活動している。セガサターン向けの作品には本作以前にも一定数関わっていて、有名どころだと作曲ではないが音楽制作進行のディレクターとしてサクラ大戦に携わった経験がある。本作では氏が音楽と効果音の両方を単独で手がけているようである。シンセやギター、オーケストラヒットを大胆に駆使した王道かつ情熱的な楽曲が取り揃えられている。サウンドトラックは未発売のため、曲名は便宜上の仮称とする。

STAGE2「Gold」で流れるのがこの曲である。雨の降る夜の都会を舞台としたステージで、本来この場所ではアイドルのコンサートが予定されていたため、ライトアップや野外広告があちこちに見える。そうしたなか、大袈裟なほど切迫感と疾走感を帯びたパワフルなイントロで始まり、14秒頃までシンセやベースでじりじりと焦らしながらエネルギーを蓄えていく。15秒あたりで主旋律が加わると、それまでのエレクトロニックな雰囲気から一転、アコースティックギターとタンバリンによる哀愁漂う調べを披露する。そのキャッチーでセンチメンタルなメロディーラインには、まるでそのまま歌詞が乗りそうな響きがあり、35秒以降でBメロに入るとますます歌モノらしい印象が強まっていく。サビに向けて徐々にボルテージを上げていくにあたって、小刻みに激しく鳴るエレキギターの伴奏がうまく勢いに弾みをつけている。54~56秒でフラメンコ風のアコースティックギターの音階を挟んでから、続くサビでシンセとエレキギターが直球の泣きメロを奏でる流れはとりわけ小気味良い。1分16秒からオクターブを上げてもう一度メインフレーズを繰り返す際には、1分21秒から等間隔でシンバルの金属音を鳴らすことでさらにリズミカルで熱狂的な雰囲気に磨きがかかる。熱く切なく気持ち良い一曲である。

ここまで明確に歌モノっぽいなら、元々コンサートで歌うはずだった曲のインスト版、みたいなイメージでつくられたのかもしれませんね。