ヒューマンがおくるシューティング・バリアームより、
牧野信博作曲、『STAGE 7』(仮称)。最終面で流れます。
主にスポーツやアドベンチャー系の作品を手がけるヒューマンにとって珍しいシューティングとして登場した本作。西暦2192年、地球統合政府に対して反旗を翻した独立軍事国家・ゼウスの脅威に立ち向かうべく、統合政府の可変型重戦闘機・バリアームが出動することになる。全7面構成の横スクロールシューティングで、ロボットアニメ風の色鮮やかでクールなビジュアルを特徴としつつも、幕間のデモ等はなく物語やキャラ描写は最小限に留めている。自機は可変型と謳う通り、パワーアップアイテムを取得することで戦闘機の形態から人型のメカに変形する。変形前後であまり目立った性能差はないが、しいて言えば人型だと被弾しても変形が解除されるだけで済む。4種類のサブウェポン、最大4速までの自機の移動速度、4段階の難易度が設けられていて、初期状態でも連射可能で強力な溜め技もあって広範囲に攻撃できるため、全体的にさくさく進められる手軽さがある。総じて癖のすくない仕上がりとなっている。
本作の音楽を担当するのは牧野信博氏。普段はアーティストへの楽曲提供の方面で活動する作編曲家である。ゲーム方面ではおそらく本作が初めての担当作品で、本作は原作のないオリジナルタイトルだが、以降2000年前後まで主に原作ありのゲーム化作品をときどき手がけていた。本作ではCD音源を活かしたパワフルでビビッドなロックやフュージョン系のサウンドが揃っている。鮮やかなシンセ、唸るエレキギター、時折添えられるサックスなど、迫力のあるエネルギッシュな作風を堪能することができる。サウンドトラックは未発売のため、曲名は便宜上の仮称とする。
STAGE 7「BAY SIDE CITY」で流れるのがこの曲である。最終面であり、セピア色に染まる湾岸都市の高架橋を進み、やがてトンネルを抜けた先で夜の帳が下りて景色がネイビーに変わる。クライマックスの粋な一幕を彩るにあたって、出だしからシリアスな響きを帯びたシンセとギターの組み合わせが気持ち良く、8秒からサックスが加わると痺れるような快感をもたらす。8~20秒はサックス、21~33秒はシンセ、34~46秒はサックス、47秒~59秒はシンセと交互に見せ場を設け、その間ギターは伴奏として絶えず付き添い続けるが、1分からは満を持してギターをフィーチャーしたフレーズが挿入される。1分15秒でまるでクラクションを鳴らすかのようにサックスが急激に鋭く吼えると、続けて即興風で変幻自在の演奏を披露する。1分45秒以降で再びシンセが目立ち出す際にも、サックスは演奏を止めずに駆け抜け、1分58秒で振り出しに戻る。以降も単純な反復ではなくアウトロまでしっかり曲が続くが、作中のステージの尺はだいたい2分弱に収まっている。決戦に向けて気力が充填されていく感覚を味わえる一曲である。
これは良いですね。みなぎります。