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#1439 『STAGE 6』(斉藤康仁/ライザンバーII/PCECD)

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データウエストがおくるシューティング・ライザンバーより、

斉藤康仁作曲、2の『STAGE 6』(仮称)。最終面で流れます。

高難度で知られるライザンバーシリーズのナンバリング2作目であり、それまで主にFM TOWNS向けに作品を開発してきたデータウエストにとってのPCエンジン参入第1弾にあたる本作。前作のゾウル・エンパイアとの戦いを経て間もなく、驚異の増殖力を以って報復を仕掛けてきた敵に対抗すべく、エリミネート・スキャナーが再び出撃することになる。全6面構成、一撃死で残機制の横スクロールシューティングで、前作同様、真っ向勝負よりも敵の猛攻をブーストで掻い潜ることに重きを置いたゲーム性が特徴である。敵は硬いが自機の火力は控えめで、見てから対処するのでは間に合わない覚え要素が強く、道中は入り組んでいて敵や敵弾のみならず地形に接触してもミスになるなど、高難度を印象付ける要因が多く揃っている。ブーストを使うと瞬間的に加速できるので苦境を突破するのに誂え向きだが、無敵になれるわけでもなく下手すれば勢いよく自滅する破目になるため、使いどころの見極めと緻密な操縦テクニックを要する。グラフィックは徹底してマットでストイックなSF調に統一されていて、ぱっと見の派手さはない代わりに隅々までよく描き込まれている。総じて芯の通ったシビアな仕上がりとなっている。

本作の音楽を担当するのは斉藤康仁氏。当時データウエストに所属していた作曲家である。ライザンバーシリーズには前作から引き続き作曲を手がけていて、次作の3も含めてシリーズサウンドを一手に担っている。勇ましさのなかに哀愁が宿る作風は本作でも健在で、CD音源を用いた上質で情熱的な楽曲群をたっぷり楽しむことができる。メインテーマ(1面道中の曲)は前作から受け継いだ音源違いアレンジであるほか、力強い楽曲が大半を占めるなかでも最終面だけ効果音が消えてやたらしっとりとしたギター曲が流れる点は前作と同様である。サウンドトラックは未発売のため、曲名は便宜上の仮称とする。

最終面であるステージ6「ニューロ・コード」で流れるのがこの曲である。前述の通り、最終面では効果音が鳴らなくなりしっとりとしたギター曲が流れるのはシリーズの伝統であり、この曲はその好例である。ひたすら切ない響きを帯びたアコースティックギターによる情緒的なイントロで始まり、十分にアンニュイなムードを高めたところで26秒から主旋律が入る。しばらくは曲調に大きく変化が生じることなく、ギターとパーカッションを軸として哀しくも心地良いメロディーを紡ぎ続ける。変化を迎えるのは54秒、満を持してエレキギターが加わるくだりで、重低音を交えてよりいっそうの悲哀を湛えるようになる。はじめはただ切ないが、次第に胸を抉るような痛ましさが感じ取れるようになり、1分19秒からオクターブが上がってギターが高音で吼えるさまは圧巻である。1分44秒からアコースティックギターが合流し、エレキとアコギが協演を果たすことで、クライマックスに向けてさらに悲壮感たっぷりに盛り上がっていく。ここまで辿り着くのは至難の業であり、傷つきながらも最後の力を振り絞って突き進むからこそ映える一曲である。

ここまで来て散りたくはないけれど、散ってもそれはそれで受け入れてしまえるような気分にさせてくれる曲かもしれません。前作の最終面で流れる『Follow』と、次作の最終面で流れる曲もあわせてどうぞ。

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