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Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を隔日更新で紹介します。

#1135 『Factory Fright』(David Wise/Yooka-Laylee and the Impossible Lair/NS・PS4・XOne・PC)

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Playtonic Gamesがおくるアクション・Yooka-Layleeより、

David Wise作曲、Impossible Lair(インポッシブル迷宮)の『Factory Fright』。

Factory Fright(きょうふの工場)で流れます。

スーパードンキーコングの開発スタッフが設立したPlaytonic Gamesによる精神的後継作・Yooka-Layleeシリーズの第2弾にあたる本作。宿敵・Capital Bが蜂の王国を洗脳して世界征服を企むなか、おなじみの二人組であるカメレオンのYookaとコウモリのLayleeが脅威に立ち向かうことになる。前作はオープンワールド型のプラットフォーマーだったが、本作では3Dグラフィックを取り入れつつ基本的に2D横スクロールになった。ギミック満載の色鮮やかなステージ群が特徴で、一度攻略したステージでも水没や凍結などによって大きく構造が変わる差分が用意されているため、違った遊び方を楽しめる。また、初めから最終面のImpossible Lairに挑戦できる仕組みで、非常に高難度かつ長丁場だが、各ステージをクリアするとその分だけミスを無効化できる(≒残機が増える)ようになる。前作同様、トニックという様々な効果をもたらすアイテムが数多く登場し、自機のアクションを強化するスタンダードな性能のほか、グラフィックがレトロ風になる、敵が強くなるなど、多彩なラインナップが揃っている。細部まで遊び心が詰まった仕上がりとなっている。

本作の音楽を担当するのはMatt Griffin氏、Grant Kirkhope氏、Dan Murdoch氏、David Wise氏。Griffin氏とMurdoch氏はPlaytonicに所属する作曲家で、Kirkhope氏とWise氏はフリーランスの作曲家である。このうち前作から続投しているKirkhope氏とWise氏はかつてレアに在籍していて、本作のインスパイア元であるドンキーコングシリーズでの作曲経験がある。色彩豊かなステージにあわせて本作の楽曲はギターをフィーチャーした明るく楽しげなアコースティックサウンドが多く揃っている。また、ステージ構造が変化すると曲も切り替わる。サウンドトラックは各種デジタルストアで配信されている。

チャプター2のFactory Fright、日本語名「きょうふの工場」で流れるのがこの曲である。機械と赤い薔薇(機械に絡みつくように生えているものもあれば、薔薇を模した歯車などもある)が特徴的な序盤の工場ステージである。イントロから非常に繊細に響くオルゴールのような音色が印象的で、その物憂げで奥深い旋律は、瞬時に驚かされるような恐怖ではなく、じわじわと魔法にかけられるような畏怖に近い感覚を生み出す。伴奏部分はいかにも工場ステージらしい機械音交じりの効果音で構成されていて、16秒や19~21秒などをはじめ、パーカッションパートが派手に鳴り響く場面もすくなくない。が、それによって曲全体を貫く静謐な雰囲気が崩れることなく、むしろ不思議と快く感じられる小気味良さを添えている。曲の大部分は伴奏主体でアンビエントらしい曲調になっているが、1分18秒などふとした瞬間にはっきりとしたメロディーが入ることで、たちまち心を奪われるような没入感を与える。ひたすら幻想的で心地良い一曲である。

ステージの見た目も含めてこの得も言われぬ空気感が最高で、最初の数音で虜になりますね。他の曲もいいですよ、『Urban Uprise』(Murdochさん作曲)とか『Cliffside Quest - Cold』(Griffinさん作曲)とか。せっかくなのであわせてどうぞ。

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