VGM格納庫

Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を隔日更新で紹介します。

#1030 『Mimolette』(a_hisa/MAD RAT DEAD/NS・PS4)

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日本一ソフトウェアがおくるリズムアクション・MAD RAT DEADより、

a_hisa作曲、『Mimolette』。ステージ5のボス戦で流れます。

リズムゲームと横スクロールアクションが融合した作品として登場した本作。実験動物として生涯を終えたネズミの主人公・マッドラットは、ネズミの神さまに最期の一日をやり直すチャンスを与えられ、人間に復讐すべく奮闘することになる。音楽に合わせてタイミングよくボタンを押すことでダッシュしたり攻撃したりする2Dアクションで、すべてのステージに専用曲が用意されている。死に覚え要素ありのレベルデザインで、ミスをしたら時間を巻き戻して即座にリトライできる気軽さが特徴である。また、一度クリアしたステージは難易度を上げたり楽曲を変更したうえで遊べるモードも搭載されている。全体的なボリュームはすくないが、カートゥーン調の不気味でコミカルな世界観と、慣れればリズムとアクションの一体感を楽しめる小品に仕上がっている。

本作の音楽を担当するのはa_hisa氏、DYES IWASAKI氏、xaki(崎田浩一)氏、大山曜氏、かめりあ氏、川越好博氏、高須和也氏。a_hisa氏とかめりあ氏は主に音ゲーでの楽曲提供や同人関連を中心に手がけるフリーの作曲家、DYES氏はラップユニット・FAKE TYPE.所属のトラックメイカー、xaki氏・大山氏・川越氏は音楽制作会社ZIZZ STUDIO所属の作曲家、高須氏は日本一ソフトウェア所属の作曲家で本作のサウンドディレクターを務めている。本作ではEDMやジャズ、エレクトロを軸としたノリノリな楽曲が取り揃えられていて、音楽をフィーチャーしたゲームらしくどの曲も唯一無二の個性を放っている。サウンドトラックは限定盤に同梱されているほか、単体でも発売されている。

ステージ5のボスであるファントムムーン戦で流れるのがこの曲である。いよいよ物語も終盤のボス戦、その相手はとろけるミモレット(チーズの一種)を思わせる歪な月である。音数の限られたレトロな旋律で始まり、15秒からパーカッションが参戦してしっかりと拍を刻んでいく。徐々に勢いづいてテンションが高まったところで、28秒あたりから一気に電子音の波が押し寄せてきて、踊れるチップチューンへと変貌する。ピコピコ響く主旋律の傍らで怪しげな効果音が鳴ることで、ポップでキャッチーな曲調だがすこし胸騒ぎがするような不穏さを滲ませている。1分24秒からのサビは一見すると底抜けに明るいが、何度か繰り返すうちに不思議とセンチメンタルな印象を与えるようになる。躍動感あふれる音色のなかに独特なノスタルジーを漂わせる一曲である。

12曲まとめていただいたリクエストの第5弾です。どれも粒揃いですが、個人的には3-1面の『One day at Laboratory』(DYESさん作曲)ですかね。怪しさと格好良さとノリの良さのバランスが絶妙です。あわせてどうぞ。

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