VGM格納庫

Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を隔日更新で紹介します。

#1029 『あかのこうや』(羽鳥大祐/パネキット/PS)

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SCEがおくる無限工作シミュレーション・パネキットより、

羽鳥大祐作曲、『あかのこうや』(仮称)。あかのこうやで流れます。

工作をテーマにしたPS末期のゲームである本作。パネルやコアなどから成る7種類のパーツを組み合わせて、角度や推進方向といった細かな調整を施して自由にモデルを作成することになる。一般的な乗り物から技巧を凝らせたこだわりのメカまで、何をつくるかはプレイヤー次第というとびきりの自由度の高さが特徴である。フィールドは5種類、それぞれ異なる景観や地形を持っていて、つくったモデルをフィールド上で動かすことができる。また、各フィールドで遊べる競技があり、レースや射撃など多種多様な競技のノルマを達成するために最適なモデルを組み立てて挑戦することが一応のゲームの目的として用意されている。試行錯誤を繰り返して発想力を形にする面白さを追求した仕上がりとなっている。

本作の音楽を担当するのは羽鳥大祐氏。氏に関する情報はほとんどないが、本作の発売前に攻殻機動隊のゲーム化作品に山崎耕一氏(当時SCEに所属していた作曲家)らと共同で効果音制作に携わっていたことから、羽鳥氏もSCEに所属していたか、何かゆかりがあるものと考えられる。本作では作曲も効果音も氏が単独で手がけていて、リゾート地や雪山といったフィールドごとの雰囲気にあわせた楽曲が揃っている。サウンドトラックは未発売のため、曲名は便宜上の仮称とする。

あかのこうやで流れるのがこの曲である。5つあるフィールドのうち最後に訪れる、いわばラストステージのようなもので、ここの最終競技をクリアすることでスタッフロールが流れる。名前の通り辺り一面が赤土の荒野で、曲も風景にぴったりなウェスタンテイストの哀愁を漂わせている。開放的だが寂寥感が滲むパンフルートの主旋律が、ベースやシンセストリングスのリズミカルな伴奏と相まって、心躍るような没入感を生む。自作のモデルで荒野を駆ける快感を、切なくも鮮やかな曲調で表現した一曲である。

一つ前のだいせつげん(大雪原)もいいですよ。前向きなようですこし物悲しくもあり、雪景色とよく合ってます。あわせてどうぞ。

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