茂野理香・半井香織・山岸継司作曲、『フィールド(後半)』(仮称)。
後半のフィールド曲として流れます。
すでにスーファミが発売されてから1年後に発売された、ファミコン末期のRPGである本作。ファンタジー世界・レムリアルを舞台に、森で倒れていた記憶喪失の主人公は、旅の魔導士・ダルスや古代王国アークの姫・レフィスなどの仲間たちとの出会いと別れを通じて、やがてレムリアルの成り立ちと己の正体を知ることになる。RPGでありながら戦闘シーンは見下ろし型のアクションとなっていて、直接操作できる主人公以外にも仲間たちがオートで参戦してくれる。逃げる代わりに死んだふりをして敵をやり過ごす「しにまね」という独自コマンドが存在したり、壮大なシナリオを彩る特徴的なシネマディスプレイが取り入れられているなど、斬新な要素もすくなくない。副題に黎明編とある割に特にシリーズ化はされていないが、単発作品として手堅くまとまった仕上がりとなっている。
本作の音楽を担当するのはMORE YAMASANこと山岸継司氏、KAORINこと半井香織氏、RIKARINこと茂野理香氏。スタッフロールにはMIYA(宮崎博)氏の名前も確認できるが、作曲を担当しているのは先の三名である。いずれも当時テクモに所属していた作曲家である。本作ではストーリーが進むにつれて徐々に全貌が明かされるレムリアルの幻想的な世界観にあわせて、儚くも美しい楽曲が揃っていて、ときに激しく、ときに穏やかに、情緒豊かに物語を盛り上げてくれる。サウンドトラックは未発売のため、曲名は便宜上の仮称とする。
海を越えた先の後半のフィールドで流れるのがこの曲である。曲の出だしで音階を駆けのぼり、一気に曲の世界に引き込むような没入感を生み出す。続く穏やかで雄大な旋律は、開放的でありながらどこか物憂げな空気感を漂わせる。特に34秒以降のフレーズにて、非常に気持ち良く響き渡る高音を駆使することで、物語の後半に向けていっそう気を引き締めていこう、という決意を後押ししてくれる。音数がすくなく、素朴であるがゆえに耳馴染みしやすい魅力に満ちた一曲である。
出だしの音階、FFの『クリスタルタワー』とも似てますが、一瞬にして心を掴まれるような気さえします。前半のフィールド曲も、やはりこちらも特に出だしが小気味良くてとても好きです。あわせてどうぞ。