岩代太郎作曲、2の『鬼武者2メインテーマ』(『Truth of Brave』とも)。
エンディングで流れます。
「空前絶後のバッサリ感」というキャッチコピーで知られる剣戟アクション・鬼武者の続編として登場した本作。前作の死闘から13年後を舞台に、鬼の血を引く剣士・柳生十兵衛は、幻魔の力で蘇った織田信長に故郷を滅ぼされたことを受け、信長を討つべく復讐の旅に出ることになる。俳優の故・松田優作氏がモデルを務める十兵衛のほか、風魔小太郎や雑賀孫一など、親睦を深めることで劇中でキャラ交代できる複数の仲間が用意されている。アクションの肝となるバッサリ感は、前作を概ね踏襲しつつ、力を溜めて強力な攻撃を放つ奥義や、鬼となって一定時間ステータスが超強化される鬼武者変身などの新要素の追加により、さらに爽快感に磨きがかかっている。全体的に前作の作風を受け継ぎつつ、正統に進化した仕上がりとなっている。
本作の音楽を担当するのは岩代太郎氏、奥河英樹氏、堀山俊彦氏。岩代氏は映画やテレビドラマの劇伴などで幅広く活躍する作曲家で、奥河氏と堀山氏はカプコン所属の作曲家である。前作では佐村河内守氏(ただし新垣隆氏がゴーストライターとして実際の作曲を手がけていた)をメインコンポーザーに据えていて、本作においても大物を起用する路線を継承している。大河ドラマでも作曲経験がある岩代氏らしく、非常に臨場感あふれる壮大なオーケストラサウンドが取り揃えられている。サウンドトラックはオリジナル盤のほか、岩代氏によるセルフアレンジアルバムが存在し、後者では曲名にそれぞれ『Truth of~』という題が新たに付されている。
本作のメインテーマであり、スタッフロールで流れるのがこの曲である。イントロですでに音の重みにあわや押しつぶされそうになるほどの重厚感を滲ませていて、張り詰めた静けさが只ならぬ緊張感を漂わせる。47秒でようやく主旋律が入ると、その滑らかな弦の音色が美しくも勇ましく響き渡り、小気味良いドラムと相まって絶妙な悲愴感を生み出す。2分20秒あたりで一旦落ち着き、間奏部分でバイオリンの優雅さを最大限にまで引き出すと、ギターの轟音に侵食されながらいっそう華やかにメロディーを紡いでいく。3分40秒からのフレーズでは、それまでの悲しみを乗り越えて開放的な盛り上がりを見せるも、最終的には再び深く沈み込むような弦楽の重奏で締め括る。物語の起承転結が凝縮されたかのような印象を与える一曲である。
アレンジではアウトロの弦楽重奏が曲の始めにあって、曲の真ん中は特に変化なしですが、曲の終わりはギターで幕を閉じます。曲の頭尾が再構築されたことで、余韻の感じ方がすこし異なるかも。あわせてどうぞ。