VGM格納庫

Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を隔日更新で紹介します。

#1189 『タクマ塾武者修行』(安井洋介/カスタムロボV2/N64)

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ノイズがおくるロボットアクションRPGカスタムロボより、

安井洋介作曲、V2の『タクマ塾武者修行』。

タクマ塾で流れます。

ロボを操るコマンダーとなって自分好みにカスタマイズして戦わせるカスタムロボシリーズのナンバリング2作目にあたる本作。前作の1年後を舞台に、懸賞に当選して念願のロボ・レイIIを手に入れた主人公は、新たな友達やライバルとの出会いを経て徐々にコマンダーとしての才能を開花させていくことになる。シナリオは旅立ち編と激闘編の二本立てで、前者は仲間と切磋琢磨したり秘密結社に立ち向かったりする王道な内容で、後者は新ルールや前作キャラを交えて次々とバトルしていくクリア後のやり込み要素である。前作と比べて機体数が倍増したほか、新たなタイプやパーツ、戦闘ステージなども追加され、ボリューム面において大きくパワーアップした。対人戦に関しては、前作同様のタイマンのVSバトルに加えて、新モードとして最大4人まで対戦できる2on2バトル(4体同時ではなくあくまで一度に2体ずつだが、タッグ制で適宜交代しながら戦う)が搭載され、遊びの幅が順当に広がった。豊富なボリュームでカスタマイズの面白さを味わえる仕上がりとなっている。

本作の音楽を担当するのは佐宗綾子氏、細江慎治氏、安井洋介氏、渡部恭久氏。安井氏と渡部氏は当時、細江氏と佐宗氏は現在も音楽制作会社スーパースィープに所属する作曲家である。このうち細江氏、佐宗氏、渡部氏の三名は前作から引き続き携わっているが、安井氏は当時新人でシリーズ初参戦である。本作の音楽はシンセやパーカッションをフィーチャーした熱く明るいBGMを中心としつつ、なかには洒落たジャズやテクノなども含まれる。また、前作から流用されている曲がいくつかある。サウンドトラックについては、前作とあわせて収録されたものが存在する。

タクマ塾で流れるのがこの曲である。コマンダーを養成するための塾で、旅立ち編において主人公はここに入塾して腕を磨くことになる。この曲はそうした修行のイメージに寄り添うような熱血な曲調に仕上がっている。同じ音程を連発するパワフルな旋律で始まり、大仰なほど熱く哀愁薫るクサメロを奏でる。8秒以降のドラムパターンはまるで行進曲のような印象で、そこにシンセブラスを思わせる音色が重なることで、派手で力強いのに不思議と切ない空気を醸す。40秒からは行進曲風のリズムから一転して、電子オルガンのグルーヴィーな伴奏を交えて垢抜けたような鮮やかな曲調へと変わる。厳しい特訓を経て成長する感覚が音を通して伝わってくる一曲である。

この曲を紹介してほしいというリクエストをいただきました。サントラに収録されている曲名は『タクマ塾武者修行 ~ ヘトヘトコマンダー』ですが、『ヘトヘトコマンダー』は(単曲音源が見つからないので紹介は割愛しますが)一日の終わりに流れる夜アレンジですね。