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Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を隔日更新で紹介します。

#1149 『la raza solitaria en el mar』(大越香里・安井洋介/エバーブルー2/PS2)

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アリカがおくるダイビングアドベンチャーエバーブルーより、

大越香里・安井洋介作曲、『la raza solitaria en el mar』。ドリフトレースで流れます。

キューバダイビングを題材にしたエバーブルーシリーズの2作目にあたる本作。カリブ海に浮かぶバレンティア島を舞台に、ダイバーの主人公・レオは島に伝わる宝を求めて広い海を冒険することになる。前作同様、海を潜ってアイテムを取るというシンプルなゲームサイクルが特徴で、本作ではストーリー性が強化されたほか、新要素として写真撮影や施設づくりなどのやり込み要素が加わった。ダイビングに関しては、HPとAIR(酸素残量のことで、潜り続けると徐々に減っていく)の二つのパラメータを管理しながら進めていくなかで、本作では新たにプレイヤーを襲う敵が登場するようになった。凶暴な鮫に追われたり毒を被ったりする危険があるため、適度に刺激のある水中探索を体験することができる。自分のペースでまったり遊んでコレクションを埋めていく楽しみが詰まった仕上がりとなっている。

本作の音楽を担当するのは大越香里氏と安井洋介氏。いずれも当時、音楽制作会社スーパースィープに所属していた作曲家である。スタッフロールでは同社の佐宗綾子氏と細江慎治氏の名前も確認できるが、公式サイトによると実際に作曲を担当しているのは大越氏と安井氏とのことである。このうち安井氏は前作に引き続き携わっているのに対し、同社の在籍期間が短かった大越氏にとっては本作はスーパースィープ時代の数少ない担当作品の一つである。前作と同じく本作でもゆったりとした癒し系のサウンドを中心としているが、なかにはカリブの陽気な雰囲気を反映した明るいマリアッチや、鮫と対峙した際の緊迫したBGMなど、すこし毛色の異なる曲調も収録されている。サウンドトラックは未発売だが、作中にサウンドスタジオが存在する。

ドリフトレースで流れるのがこの曲である。決められたコースでいかに速くゴールするかを競うミニゲームで、記録次第で賞品を手にすることができる。水中でのレースを彩るにあたって、独特な落ち着きと疾走感を漂わせるミニマルテクノによって、非常に淡泊だが耳心地の良い印象を与える。14秒頃からトライアングルの金属音が加わると、以降ずっとリズミカルに拍を刻み続け、無機質ながらも前のめりな躍動感を生み出す。旋律らしい旋律が入るのは40秒過ぎだが、どちらかというと伴奏に近い立ち位置でさりげなく音階を奏でることから、相変わらず主役はトライアングルが担っている。淡々としつつも絶妙に心躍るようなノリを感じさせる一曲である。

曲名はスペイン語のようですね。海のなかの孤独なレース……という和訳を想定していると思いますが、razaはレースでも競争というより主に人種や血統のことを指すみたいです。