VGM格納庫

Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を隔日更新で紹介します。

#1287 『00F』(宮崎博/キャプテン翼IV プロのライバルたち/SFC)

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高橋陽一著のサッカー漫画を原作とする、

テクモがおくるサッカーシミュレーション・キャプテン翼より、

宮崎博作曲、4の『00F』(仮称)。全日本の攻撃時に流れます。

サッカー漫画「キャプテン翼」のゲーム化作品のうち、テクモ製のナンバリング4作目にあたる本作。いよいよプロの世界にやってきた大空翼は、ブラジルのサンパウロFCの一員として世界中のライバルたちと競うことになる。原作よりも先んじてプロ編を描いていて、試合結果に応じて4種類にルート分岐するマルチシナリオ制のゲームオリジナルストーリーを採用している。多数のオリジナルキャラ(ネームドの新選手のほか、名前入力可能なプレイヤーキャラも登場する)、新規の必殺技、国際色豊かなストーリー展開など、物語を盛り上げる要素が充実している。1試合の所要時間が長く、シリーズ恒例のビジュアル演出は控えめになったほか、プレイヤー側のレベルに連動して敵のレベルが決まる仕組みを搭載していることに伴って、敵に有利になりやすいゲームバランスを持つ。総じてすくなからず粗はあるが、プロになった翼たちの活躍を複数の切り口から追体験できる仕上がりとなっている。

本作の音楽を担当するのは宮崎博氏。スタッフロールではMUSIC COMPOSER欄にて、わかすぎまつり名義でクレジットされている。当時テクモに所属していた作曲家である。キャプテン翼シリーズでは本作や次作の5において作曲している。宮崎氏のほかにMUSIC欄でリカリンBZ(茂野理香)氏、MR. KUMORUJAH、なごやゆかり氏の名前も確認できる。本作では荒々しい疾走感があった前作までのサウンドと比べて、やや緩やかで丸みを帯びたような、より大人びた雰囲気の曲調が目立つようになった。また、例によって過去作からのアレンジも一部含まれる。サウンドトラックは未発売だが、作中にサウンドモードが存在する。サウンドモード中の曲名は正式な題名というよりは通し番号に近いため、ここではその表記に倣いつつあくまで便宜上の仮称として扱う。

全日本の攻撃時に流れるのがこの曲である。主にプレイヤー側が操作するチームとして各編の決勝トーナメントにおいて用いられるが、分岐次第で日本が敵チームに回ることもある。冒頭1秒ほどでまるでモールス信号のように連続して一定の音程が鳴ると、その特徴的な音色にとっさに耳が反応し、「何か始まるぞ」という印象を植え付けられる。間を置かずしてメインフレーズが始まることで、攻勢の場面を勇壮かつ緊張感たっぷりに彩る。主旋律と並行して奏でられるブラスは、ファンファーレのごとくパンパカ鳴り続け、聴きようによっては陽気で軽快な響きがあるが、他の音色や打楽器と組み合わさることで、全体として適度にスリリングでエキサイティングな聴き心地を生み出している。自チームのBGMとして聴いたときはノリが良くポジティブだが、敵チームのBGMとして聴いたときは油断ならない手強さが感じられるような、独特な躍動感のある一曲である。

この曲を紹介してほしいというリクエストをいただきました。すごく頭に残るというか、注意を引き付けられる曲ですね。