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Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を隔日更新で紹介します。

#1286 『鏡の湖の神殿』(影山雅司/プルムイ プルムイ/PS)

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カルチュア・パブリッシャーズがおくるモーフィングRPG、プルムイプルムイより、

影山雅司作曲、『鏡の湖の神殿』。同名のダンジョンで流れます。

D3パブリッシャーの前身にあたるカルチュア・パブリッシャーズ販売の作品として登場した本作。プル族という謎の生き物が暮らす世界を舞台に、空から降ってきた記憶喪失の少女・マドカは、変身能力を持つプル族の元気な男の子・ムイとともに冒険することになる。メルヘンチックだけどオーバーテクノロジーな世界観が印象的な3DアクションRPGで、お菓子をムイにあげると様々な形状にモーフィング(変身)する点が特徴である。お店や畑で入手した材料を基にお料理して、出来上がったお菓子をムイに食べさせれば、たとえば橋に変身させて川を渡ったり、バス停に変身させて村に戻ったりすることができる。モーフィングは特定の地点でのみ可能という性質上、攻略の自由度はそう高くないが、ぐんにゃり変身する可愛らしい遷移演出を楽しめる。また、お料理のラインナップが凝っていて、クッキーやプリンといった定番から、ガトーブルトンやマロンババロアといった素敵なスイーツまで用意されている。アクションに関しては、剣で戦うシンプルな内容で、装備したメダルに応じて攻撃の種類が変わったり合体や召喚技を使えるようになったりする。総じて小粒だがキュートな雰囲気を味わえる仕上がりとなっている。

本作の音楽を担当するのは石川敏氏と影山雅司氏。スタッフロール未記載で担当分は少数に留まるが、赤坂雄治氏も作曲しているようである。スタッフロール上では石川氏はMA(マルチオーディオ)・サウンドデザインという役職でクレジットされていて、作曲の欄では影山氏が単独でクレジットされている。石川氏は本作の開発元であるエフツウに所属していた作曲家で、影山氏は80年代~90年代頃に活動していた作曲家である。本作では穏やかな世界観にあわせて、ハウスやジャズ、ラウンジなどの落ち着いた癒し系のサウンドを中心に構成されている。シンセパッド、ピアノ、なかにはブズーキと思しきエスニックな音色も取り入れた耳当たりの良い楽曲群が揃っている。サウンドトラックには本編未使用のものも含めて収録されている。

鏡の湖の神殿で流れるのがこの曲である。透明な結晶に覆われた神殿で、元は湖の底に沈んでいるが、水抜きすると入れるようになる。内部には氷の床などの仕掛けがあって冷涼な雰囲気が漂っているが、そうした印象に寄り添うようにこの曲もたっぷりくつろげる涼しげな曲調に仕上がっている。柔らかく和やかな伴奏に、スチールパンの弾性に富んだ音色が組み合わさることで、リラックスしつつウキウキできるような快い気分にさせてくれる。19秒からオカリナに似た音色が加わると、いっそう耳に馴染む響きを帯びるようになり、いつまでも聴いていられる居心地の良さを感じさせる。が、54秒でやや唐突にオーケストラヒットが響くと、10秒間ほど伴奏のみを聴かせる間奏が挿入され、その後まもなくループに至る。スチールパンが目立つのは曲の序盤のみでループ範囲には含まれないが、それによってうまく曲後半の洒落たムードを保ち続けている。摩訶不思議な艶のある一曲である。

心が静かに満たされてゆく感じがする、とても気持ち良い曲ですね。