『エンディング』(仮称)。エンディングで流れます。
PCエンジン初期のRPGとして登場した本作。高度な科学技術を持つ惑星ラフラで暗躍する組織・マーズを偵察すべく、主人公はファイティングワーカー(通称FW)と呼ばれるロボットに乗り込み、表向きはFW同士で戦うデュエリストとして各地を冒険することになる。ロボットもののSFに特化した硬派な世界観と一人称視点で滑らかに動くグラフィックが特徴の3DダンジョンRPGで、戦闘システムは通常戦闘、デュエリスト戦ともに一対一のシンプルなコマンド式を採用している。肝となるダンジョン攻略でマッピング機能が存在しないなど、全体的に簡素なつくりだが、当時のRPGとしては珍しいハードSFのツボを押さえた仕上がりとなっている。
本作の音楽を担当するのは影山雅司氏。当時サンソフトに所属していた作曲家で、本作がデビュー作である。初の担当作として、また異色の作風を持つ作品として、当時は慣れない機器で格好良い音楽をつくろうと必死だったという。その甲斐もあって、本作の楽曲はいずれもメタリックでストイックな雰囲気に見合った疾走感あふれる逸品揃いである。また、開始時の起動コード登録(名前入力のようなもの)で特定の文字列を入力するとダンジョン曲が変わるという小ネタが仕込まれているなど、遊び心も窺える。サウンドトラックは残念ながら未発売のため、曲名は便宜上の仮称とする。
エンディングのスタッフロールで流れるのがこの曲である。ラスボス撃破後、物語の終わりを伝える短いテキストが表示され、すぐさまスタッフロールへと移るが、そこで流るこの曲は戦闘曲に劣らぬスピーディーな勢いを持つ。低音のベースに、中音域を彷徨う主旋律、さらには時折キンキン響く高音とが組み合わさることで、重厚さと軽快さがバランスよく融合している。一旦まとまったフレーズが終結し、再び主旋律を奏で始める頃に、折よくスタッフロールに続いて各地で出会ったキャラから労いのメッセージが現れ、音楽共々力強い達成感を印象付けてくれる。エンディングならではの集大成らしさが詰まった一曲である。
この曲を紹介してほしいというリクエストをいただきました。エンディング映像は以下からどうぞ(曲が流れているのは48:37~51:27ですが、冒頭の無音のエピローグもあわせてご覧ください)。