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Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を隔日更新で紹介します。

#1281 『エンディング』(田坂真二・萩原善之/カーブノア/GB)

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コナミがおくるダンジョンRPG・カーブノアより、

田坂真二・萩原善之作曲、『エンディング』(仮称)。エンディングで流れます。

上記動画の10:49から12:19まで。

コナミ製のゲームボーイ初期の作品である本作。森に囲まれたカルーズの村にやってきた主人公は、一人前の冒険者として認められるべく四方の迷宮に挑むことになる。当時としては先駆的だった国産のローグライクなダンジョンRPGで、それぞれ異なるクエスト(討伐や収集など)が設けられた4つの迷宮を攻略していく。入るたびに迷宮の構造が変わる点、マス目上のターン制で敵味方が行動する点、アイテムや武具が現地調達である点など、ジャンルの基礎は押さえている。一方で、空腹度の概念がないほか、足踏みしたり動き回ったりするうちに体力が回復する要素がないなど、システムはシンプルな部類に入る。クエストは達成するとクエストのレベルが上昇し、必要な討伐数が増えるなどより要求度の高いものが挑戦可能となる。レベルは10段階+マスターレベルから成り、各クエストを所定のレベルまで上げれば一応のエンディングを迎えられる仕組みである。ゲームバランスは特に高レベルになるほど運頼みなところもあるが、それなりに骨太な体験を味わうことができる。総じて簡素なつくりだがしっかりジャンルに見合った遊び心地を得られる仕上がりとなっている。

本作の音楽を担当するのは田坂真二氏と萩原善之氏。いずれも当時コナミに所属していた作曲家である。本作の世界観はドラゴンやフェアリーなどが登場するいわゆるクラシカルな剣と魔法のファンタジーで、迷宮探索を題材としていることから、音楽面ではシビアで焦燥感あふれる楽曲を中心に取り揃えられている。それと同時に、作中の雰囲気は(主にキャラの動きや演出面などの影響で)意外とライトでユーモラスな印象があるため、なかには明るめの曲調のものも存在する。サウンドトラックは未発売のため、曲名は便宜上の仮称とする。

エンディングで流れるのがこの曲である。冒頭5秒ほどはキーンと響く高音を並べて、しんみり感慨に耽るようなセンチメンタルなムードを漂わせる。が、イントロ明け(10:56以降)には一気に楽天的な雰囲気へと様変わりし、さながら冒険者を祝福しているかのごとくキャッチーでメロディアスな旋律が紡がれる。冒頭でみられた高音は、24秒頃(11:13)からのフレーズにて主旋律の後に続くようにして再び鳴り渡り、最初に耳にしたときの感傷的な響きとは異なり、今度は溌溂とした響きを帯びている。しばらくの間、8分音符と16分音符2つで構成される軽快なリズムが刻まれることとも相まって、とても耳馴染みしやすく前向きな気持ちにしてくれる。30秒手前(11:28)には上昇音階を使ってやがて綺麗に収束すると、ごく短い間を挟んでから再始動し、以降はループに入る。冒険の幕引きをすっきり爽やかに彩る一曲である。

作中だとスタッフロールが終わる頃の締めに、この曲のフレーズをスローテンポ化したジングルが入って、最後の最後でしんみりしたムードが戻ってきます。上の動画の6:00~6:13にそのジングルが収録されてますが、下にも秒数指定で再掲しておきます。

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