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Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を隔日更新で紹介します。

#1520 『この想いのせて』(肥塚良彦・妹尾和浩・竹ノ内裕治/ときめきメモリアル 対戦ぱずるだま/AC)

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コナミがおくるパズルゲーム・ときめきメモリアル対戦ぱずるだまより、

肥塚良彦・妹尾和浩・竹ノ内裕治編曲、『この想いのせて』。

原曲はときメモの『イルカのように』で、最終ステージで流れます。

上記動画の43:11から46:16まで。

対戦型の落ち物パズルである対戦ぱずるだまシリーズの2作目として、恋愛シミュレーションときめきメモリアルとコラボした本作。ときメモのヒロインたちから一人を選んで、主人公への告白を賭けて邪魔する他の娘たちと戦うことになる。基本的なルールは前作同様、縦13×横6マスのフィールドで2個1組で落ちてくるたまをうまく並べ、同色で3つ以上揃えて消していくなかで、連鎖に応じて対戦相手にこうげきだまを送り込み、先に相手のフィールドを最上段まで埋め尽くしたほうが勝ちとなる。本作ではときメモのキャラを用いて、表情豊かに動いたりキャラ同士でやりとりする様子をたっぷり楽しめるほか、キャラごとに攻撃パターンが練られていて対戦面でもしっかり個性と歯応えが感じられるよう調整されている。オールスターのお祭り感と白熱した対戦の醍醐味をまとめて味わえる仕上がりとなっている。後にPSやセガサターン、PCに移植された。

本作の音楽を担当するのは肥塚良彦氏、妹尾和浩氏、竹ノ内裕治氏。スタッフロールではそれぞれ肥蔵、シタール妹尾、TECHNOUCHIの名義でクレジットされている。また、同じサウンドデザイナー欄に空(G-LTD)という人物が記載されているが、作編曲ではなく効果音担当のようである。妹尾氏と竹ノ内氏は当時、肥塚氏は現在もコナミに所属する作曲家である。三名とも対戦ぱずるだまシリーズおよびときメモシリーズには本作のみの参加となるが、妹尾氏はときメモのCDドラマでボーカル曲を提供した経験がある。本作ではときメモからのアレンジを中心に、シンセ系のポップでフレッシュでちょっぴり甘酸っぱい感じのする楽曲が揃えられている。サウンドトラックには短いジングルも含めて収録されている。

最終ステージで流れるのがこの曲である。開始時にメインヒロインの藤崎詩織以外を選んだ場合は詩織と、詩織を選んだ場合は隠しキャラと対戦する。ここで負けるとコンティニュー不可で恋に破れるエンディングを迎えてしまうため、最後にして最大の正念場と言えるが、そのシチュエーションに沿うようにこの曲はときメモの水泳部インターハイで流れる『イルカのように』のアレンジに仕上がっている。冒頭から眩しく瑞々しい響きを帯びたシンセを駆使して一気に盛り上げ、リリカルでメロウな旋律を紡ぎながら緊張と興奮を高めていく。30秒過ぎ(上記動画の43:41)から奏でられるメロディーは可憐かつ軽快で、後ろに敷かれるパッド音や刻まれるドラムと相まって心地良く期待感を駆り立ててくれる。53秒あたり(44:04)になるとキーが上昇し、繰り返しを経た後に1分43秒(44:54)にはさらにキーが上昇する。そうやって曲が進むにつれて、どことなく切なくいような、それでいて爽やかな青春らしさが強まっていく。胸が高鳴り心華やぐ感覚が如実に表現された一曲である。

この曲を紹介してほしいというリクエストをいただきました。リクエスト時にも補足いただいた通り、大元の原曲は『イルカのように』で、そのボーカル版として『この想いのせて』(作曲は村井聖夜さん、歌唱は國府田マリ子さん)があり、この曲はそのボーカル版の再インストアレンジですね。PCエンジン原曲とボーカル版もあわせてどうぞ。

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