Laugh & Peace(景山俊之・廣田幸一)作曲、藤田陽子歌唱、『HOT PLAY』。
タケコースのラウンド2で流れます。
パラッパラッパーで知られる七音社が開発した本作。ワイヤーフレームで描かれるウサギの妖精・ビブリが流れる音楽に合わせて道を歩いていき、うまく障害を避けながら曲の完走を目指すことになる。あえて白黒のワイヤー調に統一したデザインセンスと、奇妙な仕草や合成音声を用いた脱力感のある作風が特徴である。本作最大の魅力は、PS本体に任意のCDを読み込ませれば自分の好きな曲で遊べるという自由度の高さにある。BGMの波形に応じて生成された道を歩くなかで、ピースと呼ばれる障害が出現するため、対応するボタンをタイミングよく入力して乗り越えていく必要がある。内蔵されたデフォルト曲は松竹梅の難易度別に3コース・2ラウンドの計6曲のみだが、前述の通り手持ちのCDを使えば好きなだけ多彩な曲を楽しむことができる。スコアの概念はあるものの、特に作中に明確な目標は示されず、やり込みの指標となるものも設けられていないことから、高い自由度をどう活かすかはプレイヤー次第である。シンプルだけど無限大の可能性を秘めた意欲作に仕上がっている。
本作の音楽を担当するのは松浦雅也氏。七音社の代表取締役社長であり、本作の開発を主導するプロデューサー兼ゲームデザイナー兼ミュージシャンである。また、デフォルトで収録された6曲に関しては歌入りで、Laugh & Peace(景山俊之氏と廣田幸一氏から成るユニット)が作詞作曲、当時19歳でデビューしたてだった藤田陽子氏がボーカルを務めている。本作はプレイヤー自身に選曲を委ねる都合上、内蔵の曲数は限られているものの、いずれも本作の斬新さを体現した逸品揃いである。チャーミングなポップス系を軸に据えつつ、ところどころデジタルボイスを取り入れたりテンポを急変させたりして、ちょっぴりシュールでアヴァンギャルドな雰囲気を形作っている。サウンドトラックについては、続編のビブリップルとセットになって本作の楽曲が収録されたものが存在する。
タケコースのラウンド2で流れるのがこの曲である。タケは松竹梅の真ん中ということで難易度フツウに該当し、ラウンド2は基本的に同じボタンを入力していけばクリアできる素直なつくりである。冒頭からポジティブでアッパーな響きを帯びたギターとシンセを鳴らして盛り上げ、5秒頃には無線通信のような音声を交えて独自のノリを生み出す。18秒で元気にカウントを取った後、英語ボーカルが入るようになり、歯切れ良く茶目っ気あふれる歌声を存分に披露する。わらべうたのような親しみやすさがあるなかでも、かなり強く激しくギターが刻まれている点が印象深く、童謡×パンクロック風の斬新な聴き心地がある。41~52秒でボーカルが抜ける間はリゾネーターギターを連想させる音色を用いてカントリーっぽい雰囲気を演出し、テンポを落としていった直後に再度ボーカルが加わって勢いを取り戻す。特筆すべきは1分13秒からの盛り上がりで、その歌い方やギターの鳴らし方からはまるで機関車がぐんぐん前進していくような気持ち良さが感じられる。ひとしきり走り抜けて1分54秒には曲が終わるかと思いきや、もう一度サビを繰り返してエンジン全開で最後まで突っ切っていく。ガッツあふれるキュートな一曲である。
聴いていると若返りそうな気がしますね。たまに野菜を育てるときに音楽を聴かせると良いとかいう話を耳にしますが、私なら野菜たちにこの曲を聴かせたいです。