HAL研究所がおくるアクション・ファイヤーバムより、
金指英樹作曲、『ボーンステルの森』(仮称)。ボーンステルの森で流れます。
上記動画の2:24から4:24まで。
カービィシリーズで知られるHAL研の初期の作品としてディスクシステム向けに登場した本作。ボルトの村に住む炎使いの一族の少年・バムは、一族の力を恐れる伝承の魔獣・ドメスによって両親を魔物に変えられ、村人を攫われたことを受け、ドメス討伐のため旅立つことになる。サイドビュー型の2Dアクションで、冒険の舞台は大きく分けて村・森・敵拠点の3ステージで構成される。一口にアクションと言っても、マップの行き来やショップでのアイテム購入、進捗に応じた品揃えの変化など、RPGやアドベンチャーに通ずる要素がある。敵を倒して集めたファイヤールーツを元手に、ショップで新しい装備や探索用・強化用のアイテムを入手できるため、これらを駆使して攻略していく。特筆すべきは高速スクロール面の存在で、普段は左右を自由に移動できるが、特定のステージでは風に煽られて強制的に疾走することになる。この際、操作のレスポンスは良好で、剣を振らずとも直進する勢いで自動的に攻撃判定がつくため、一種のボーナスゲーム的な軽快さがある。総じて手頃な難易度で遊べる仕上がりとなっている。
本作の音楽を担当するのは金指英樹氏。スタッフロールではH.KANAZASI表記である。当時HAL研に所属していた作曲家で、同社の古参スタッフとして80年代から90年にかけて多くの作品を手がけていた。本作では作中ではほとんど語られないが、説明書に物語や世界観に関する詳細が多く記載されていて、典型的な西洋ファンタジーとはすこし違った毛色がある。主人公の出自は炎を祀る創造神話を受け継ぐ部族のようなものであり、冒険の舞台はどことなく未知のおどろおどろしさが漂っている。本作の音楽はそうした雰囲気を反映し、アップテンポで焦燥感を誘う個性的な楽曲が揃っている。サウンドトラックは未発売のため、曲名は仮称とする。
ボーンステルの森で流れるのがこの曲である。村の外に広がる謎の森で、道中には敵が出現するほか、魔法具を扱う特殊な商店や敵拠点への入り口がある。よくある序盤の森林面とは趣が異なり、やけに秘密めいたところがあるが、そうした印象に沿うようにこの曲には独自のテンションがある。イントロから耳に残るフレーズを奏でて、さながらファンクを彷彿させる強烈さを感じさせる。13秒過ぎ(上記動画の2:37)には低音を軸としてややダークでシリアスな雰囲気を漂わせるようになり、しばらく似たり寄ったりの調子が続く。41秒以降(3:05)も依然としてダークな印象が纏わりついているが、一定間隔でリズミカルに中音域の音色が響くことで、暗いなかでも不思議と小気味良い感触がある。55秒(3:19)で1ループを終えてイントロのファンキーなフレーズが再度姿を現すと、またぐっと小気味良さが強調される。ただの森ではない超自然的な存在感がある一曲である。
たまらなく怪しい感じが良いですね。