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Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を隔日更新で紹介します。

#1410 『きのこのもり』(民谷淳子/パジャマヒーロー/FC)

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Winsor McCay著のコミックストリップおよびアニメ映画「リトル・ニモ」を原作とする、

カプコンがおくるアクション・パジャマヒーローより、

民谷淳子作曲、『きのこのもり』(仮称)。1面で流れます。

ニモ少年の夢の国の冒険を描く連載コミックとその長編アニメ映画のゲーム化作品として、同年にアーケード版と並行展開しつつ題名・内容ともに異なる形で登場した本作。ある夜、眠れるニモ少年は、使者に告げられて自分が眠りの国・スランバーランドのお姫様の遊び相手に選ばれたと知り、不思議な夢に旅立つことになる。全8面構成、ステージ内のカギを集める探索要素を含むサイドビュー型のアクションゲームである。主人公の攻撃手段は主にキャンディであり、これを投げて一時的に敵を足止めさせられるほか、一部の敵はキャンディを食べて眠る。初期状態の主人公の性能は心許ないが、主人公は眠った対象に変身することができ、モグラなら地下を進めるように、ミツバチなら空を飛べるようになるなど、ステージを攻略するうえで役立つ能力を得られる。好きな変身先で自由に冒険する、というよりはむしろ、場面ごとに適切な変身先を見極める、という判断力を問われるつくりで、ステージ構成や敵の配置が練られている分、難易度はやや高めと言える。総じてメルヘンチックだが歯応えのある仕上がりとなっている。

本作の音楽を担当するのは民谷淳子氏。当時カプコンに所属していた作曲家である。同じカプコン製のニモのゲーム化作品でも、アーケード版の作曲には携わっておらず、使用曲も当然別物である(そちらは下村陽子氏が手がけている)。本作では原作のドリーミーでファンタジックですこしシュールな雰囲気をうまく捉えたサウンドが揃っている。ファミコン音源の柔らかく弾力のある音色を活かした小気味良い楽曲群を楽しむことができる。サウンドトラックは未発売のため、曲名は便宜上の仮称とする。

1面であるきのこのもりで流れるのがこの曲である。大きなきのこが生い茂る森で、地上に加えて一部地下を進む場面もある。イントロから非常にご機嫌で前向きな印象に満ちあふれた音色を奏で、冒険の始まりをとことん快く彩る。メロディーラインの楽しさはもちろんのこと、ビートの刻み方がとても明瞭で潔く、それによって全体としてノリやすい雰囲気を形作っている。15秒からは旋律を二つ重ねて小気味良いハーモニーを生み出し、24秒にはますます心を掴んで離さないようなキャッチーなサビを紡ぐ。きっかり40秒で1ループとなるが、短すぎず長すぎずちょうど良いタイミングで仕切り直して気分をリフレッシュさせてくれる。とにかく明るくやる気みなぎる一曲である。

スカッとする気持ち良さがありますね。6面のはいきょのそらも、廃墟らしからぬポジティブ全開な感じで好きです。あわせてどうぞ。

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