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Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を隔日更新で紹介します。

#884 『ウロボロス -鉄の統治-』(民谷淳子/ストライダー飛竜/MD)

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カプコンセガがおくるアクション・ストライダー飛竜より、

民谷淳子作曲、メガドライブ版の『ウロボロス -鉄の統治-』。

1面の大ボス戦で流れます。

カプコン製のアーケード用横スクロールアクション・ストライダー飛竜のコンシューマ移植版として、セガが開発および発売を手がけた本作。冥王グランドマスターに支配された世界を取り戻すべく、暗躍集団のストライダーズに属する最年少の精鋭・飛竜は、磨き抜かれた体術と剣術を駆使して戦うになる。移植に際してモーション全般が見直されたほか、容量の都合によりステージデモの音声がカット、ところどころ動きが重い場面もあるが、派手なアクションや再現性抜群のグラフィックなど、アーケードの洗練されたゲーム性を忠実に受け継いでいる。任務で東欧から空中戦艦、アマゾン秘境にまで赴く飛竜の颯爽たる活躍を、家庭用機でも楽しめる仕上がりとなっている。後にメガドライブミニに収録された。

本作の音楽を担当するのはGONこと民谷淳子氏。当時カプコンに所属していた作曲家で、アーケード版の作曲をしている。MD版のスタッフロールには氏の名前はなく、サウンドプログラマーとしてXOR氏(当時セガ所属の井上忠彦氏)がクレジットされている。元々AC版にはBGM関連の不具合が存在し、意図に反して後半はステージ曲も戦闘曲もエンディングも1面道中と同じ曲が流れることで知られていたが、本作では修正されたうえでメガドラ用に最適化されている。独創的な世界観に見合った重厚感のあるサウンドは本作でも健在で、音源の性質上、壮大さが光る原曲に比べて金属質な印象が強まっている。サウンドトラックはAC音源やアレンジを収録したものはあるが、各種移植音源は基本的に未対応である。

ステージ1「Казахская ССР(カザフ連邦国)」の大ボスであるウロボロス戦で流れるのがこの曲である。議会のような場所で座っていたはずの議員たちが次々と合体して多足生物へと変身する、その見た目と展開の強烈さを一際印象付けてくれるような、ずしんと響く威風堂々たる音使いが特徴である。重々しいフレーズを淡々と繰り返す、原曲と同じ25秒ループの短い戦闘曲ながらも、東欧を舞台にしたステージらしい独特な異国情緒を厳かに漂わせた一曲に仕上がっている。なお、原曲よりこちらは半音だけ音程が下がっていて、音源の違いも相まって、曲名の副題が示す通りの無機質さが強調されているように感じられる。

この曲を紹介してほしいというリクエストをいただきました。この重量感、いいですよね。ちなみに5面道中にアレンジがあって、重さはそのままに、アレンジでは敵に威圧されるような雰囲気よりも、むしろこっちが敵を威圧してやるような勢いがあります。AC版原曲、MD版5面道中『逆襲の速力[テーマ] 』、あわせてどうぞ。

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