ディズニーのアニメ・ダックテイル(わんぱくダック夢冒険)を原作とする、
WayForward Technologiesがおくるアクション・DuckTales: Remasteredより、
Jake Kaufman編曲、『The Moon』。
ファミコン版の月面ステージ曲のアレンジで、The Moonで流れます。
カプコンがファミコン向けに送り出したディズニーアニメのゲーム化作品・わんぱくダック夢冒険のリマスター版として、Shantaeなどで知られるWayForward Technologiesが開発した本作。一攫千金を夢見るスクルージ・マクダックは、世界各地に散らばる五つの伝説のお宝を求めて冒険することになる。ステージ構成やゲーム内容は概ね共通しているが、随所にボイス付きの会話パートを挟むことでストーリー性が強化されたほか、ドット絵からアニメーションへ、2D横スクロールだが立体的な見た目を取り入れるようになった。原作にあった時間制限を撤廃したことに加え、チュートリアルをはじめとする新ステージの追加、既存ステージの調整、難易度選択および難易度別のやり込み要素の拡張など、数多くの変更が施されている。一方でシステム面や操作感、全体的なボリュームなどは原作譲りで、レトロなアクションらしい手強くも堅実な仕上がりとなっている。後にXbox360やスマホに移植された。
本作の音楽を担当するのはJake Kaufman氏。当時WayForwardに所属していた作曲家である。本作では、好評だった原作のサウンドを表現力豊かにアレンジしたものと一部の追加曲から成る個性的な楽曲群が揃っていて、音源の違いこそあれど原曲に忠実で聴きやすい編曲がなされている。また、作中にファミコン音源に切り替えるオプションがあり、追加曲にも別途8bitアレンジが用意されている。サウンドトラックについては、8bit音源を含めて収録したものが各種デジタルストアで配信されている。
The Moonで流れるのがこの曲である。月面から宇宙船へ、さらには地下エリアも探索することになるステージである。原作の代表曲として名高い月面ステージ曲のアレンジで、高音が映えるイントロはもちろん、明るい疾走感に満ちたメインメロディーに至るまで、再現性抜群の音色で原曲の雰囲気をとてもよく捉えている。主旋律の裏で鳴る伴奏部分に躍動感たっぷりのストリングスをあてがうことで、オーケストラアレンジならではの華美な響きを生み出すと同時に、ワクワクした気分を高めてくれる。特に35秒頃からのフレーズでは、これまで以上に電子音や管弦楽器など様々な音色を重ねて、重厚かつ爽快なスピード感を漂わせる。原曲は50秒ほどでループに至るが、アレンジでは以降も音程や楽器構成などを変えながらどんどん突き進んでいく。1分24秒頃からはしばらく独自の追加パートがあり、勢いを保ちつつどこか神秘的な空気感を醸す。その後、2分28秒ほどで元の調子に戻ると、フレーズ終わりの2分40秒で短く締め括るが、すぐさま再始動する。原曲らしさを尊重しつつ、アレンジらしく昂揚感をそそる工夫を目一杯詰め込んだ秀逸な一曲である。
この曲を紹介してほしいというリクエストをいただきました。とてもポジティブで心が弾むような良アレンジですね。ちなみにエンディング用にピアノバージョンもあって、そちらも非常に素敵です。原曲と『The Moon (Piano Arrangement)』、あわせてどうぞ。