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#1027 『地下面』(山田良一/マグマックス/FC)

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日本物産がおくるシューティング・マグマックスより、

山田良一作曲、ファミコン版の『地下面』。地下面で流れます。

ニチブツの同名のアーケード用シューティングの移植版にあたる本作。巨大メカのバビロンを打ち倒すべく、可変メカのマグマックスが立ち向かうことになる。全4面、クリアすればそのまま次の周回に突入する無限ループ型の構成で、各面に用意されている地上面と地下面のいずれかを攻略して進めていく。地上は立体感のある斜めクォータービュー、地下はオーソドックスなサイドビューで、それぞれ移動や攻撃方法が異なる。特筆すべきは頭部や脚部といったパーツを集めることで自機が変形する点で、変形すればショットの種類が増えるほか、当たり判定が大きくなる代わりに、パーツに被弾しても部分破壊されるだけで自機の本体が損傷しなければミス扱いにならない。移植に際して地上のラスタースクロールが省かれるなどの変更点はあるものの、基本的には原作に忠実な出来栄えで、大味な部分こそあるが意欲的な要素のある仕上がりとなっている。

本作の音楽を担当するのは山田良一氏。当時ニチブツに所属していたサウンドクリエイターである。普段は作曲そのものというより音源開発などを中心に手がけていたようで、ニチブツサウンド全般の立役者ともいえる存在である。本作では単独で作曲していて、アーケード版の原曲からしてシューティングとしてもロボットものとしても異質な、明るさと焦りが混じったような楽曲群が揃っていたが、ファミコン版でも曲数が削られて音源が変わってなお異質さは健在である。サウンドトラックはAC音源がニチブツ初期のアーケード作品群をまとめたG.S.M. Nichibutsu 1に収録されているほか、FC音源が数量限定販売のPC移植版・ニチブツアーリーコレクションの特典CDに収録されている。

サイドビュー形式の地下面で流れるのがこの曲である。滑り落ちるような高音のイントロで始まり、かなり速いテンポで曲が進行することで、地下といって連想するような閉塞感や重圧感とは一線を画するような雰囲気を醸し出す。12~14秒などでみられる気の抜けたような急降下の音階を奏でると、すでに十分に摩訶不思議な曲調が、さらに奇天烈さを増す。旋律そのものは明るめだが、その異様な疾走感によって何かに急き立てられているようなスリリングな感覚を生む。1ループ17秒という短さで、短いからこそ何度も反復して珍妙さが加速していく一曲である。

この曲を紹介してほしいというリクエストをいただきました。補足ですが、AC版とFC版の楽曲は音源違いではなく、雰囲気の似た(ものによっては微アレンジ気味の)別曲という感じです。ループの短さも独特さも引けを取らぬ『地上面』もあわせてどうぞ。

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