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Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を隔日更新で紹介します。

#1487 『Like a Bellflower』(Michael Staple/Petal Crash/NS・PS4・PC)

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Friend & Fairyがおくるパズルゲーム・Petal Crashより、

Will Bowerman作曲・Michael Staple編曲、『Like a Bellflower』。

Arletのテーマとして流れます。

アメリカのインディースタジオ・Friend & Fairyの代表作にあたる本作。様々な種族が暮らすFloreaを舞台に、すべて集めれば願いが叶うという七つの聖なる花を求めて、妖精族の学者・Lilibriら七組の主人公が競い合うことになる。ゲームボーイカラーを連想させるメルヘンチックなグラフィックが特徴的な対戦型パズルゲームである。各キャラの物語を追うSTORY MODE、限られた時間や手数で高得点を目指すTRIAL、ルール別で対CPUや対人戦を楽しめるVERSUS MODE、決められた盤面でお題をこなしたり自作のパズルをつくれたりするPUZZLE MODEが収録されている。ルールは落ち物ではなくスライドパズルや倉庫番に近い形式を採用していて、8×8の盤面上でランダムに出現する6種類のブロックを任意の方向に動かすと、壁か他のブロックに衝突するまで滑り続ける。同色同士で繋がると爆発し、その衝撃で周囲のブロックが吹き飛ぶため、これを応用して連鎖をつくっていく。対戦時は主に3本先取で画面下部の目盛りを相手側に押しやったほうが勝ちで、目盛りを動かすには相手より早くブロックを消す必要がある。連鎖を決めれば相手の盤面にお邪魔ブロックを送り込むことができ、相手の盤面を埋め尽くして手詰まりにさせることでも勝利扱いになる。総じて一見カジュアルだけどやり込み甲斐とオリジナリティのある仕上がりとなっている。

本作の音楽を担当するのはMichael Staple氏。主にインディー方面で活躍するカナダ出身の作曲家で、MaxieDaMan名義でも知られる。Friend & Fairy製の作品には同スタジオのデビュー作であるGrapple Force Renaに引き続き携わっていて、そちらは複数の作曲家との共作だったが、本作では単独で作編曲を手がけている。本作は見た目だけでなく音楽もゲームボーイを意識したつくりになっていて、適度に可愛らしく適度に集中力を高めてくれる上質なチップチューンが揃っている。全体的に高音を散らしてキラキラした雰囲気を漂わせているが、対戦BGMを中心に結構強めにパーカッションを刻んでいて、ヒップホップ的とも言えるノリを生み出している。サウンドトラックは各種デジタルストアで配信されている。

Arletのテーマとして彼と対戦する際に流れるのがこの曲である。Arletは元々Grapple Force Renaに出てくる白髪の小柄な少年で、本作では隠しキャラとして登場する。この曲はGrapple Force Renaでの彼のテーマ『Like a Bell』をアレンジしたもので、メガドライブ風のFM音源で子守歌のような調子で奏でられた原曲からは音源のみならず曲調そのものがだいぶ異なる。核となるメロディーは共通しているが、出だしから緻密なリズムパターンを披露することで油断大敵な印象を強く漂わせている。7秒から主旋律が入ると、原曲よりテンポが上がって歯切れの良さが増したものの、相変わらずミステリアスで捉えどころのない響きを纏っている。その曲調は、か弱そうな外見と言動とは裏腹に凄まじい力を秘めている彼によく似合っている。38秒で不意に奇妙なフレーズを挟んで意識を惹きつけられると、以降はベースのアルペジオが今まで以上に活気づく。その後56秒から煌びやかなチャイムのような音色を交えると、またもや意識を惹きつけられる。特に1分11秒で急に伴奏が静まり返り、ワンクッション置いてから1分14秒でパーカッションが再参戦するくだりが印象深い。可憐なようで並外れたインパクトがある一曲である。

本作は日本語未対応です。音源はメガドライブのほうが豪華な印象があるけど、世代はゲームボーイカラーのほうが新しくて、この曲はそのあたりも踏まえて原曲より成熟した感じがするのが素敵ですね。原曲の『Like a Bell』もあわせてどうぞ。

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