任天堂とインディーズゼロがおくるアクションパズル・すってはっくんより、
中塚章人作曲、『荒野でのんびりしよう♪』。5-1~5-10面で流れます。
元はサテラビュー向けの企画として配信され、後に市販化された本作。虹の橋で結ばれたしあわせ島と周辺の島々を舞台に、透明な体で何でも吸い込む主人公・はっくんが散らばってしまった虹のかけらを集めることになる。10ステージ×10面+隠し20面の計120面から成るステージクリア型のアクションパズルゲームで、かけらを入手すべくステージ内のブロックを吸って吐いて道を切り拓いていく。道中には色の入ったツボが置かれていて、主人公が透明な体であることを活かし、ツボから色を吸い取ってブロックに注入することができる。色を与えるとブロックが動き出し、赤なら上下、青なら左右、黄なら斜めに移動するようになる。また、まっくんというお邪魔キャラに色を与えると色ごとに異なる動きをしてくれるので、これらをうまく組み合わせることがステージ攻略の肝となる。トゲをはじめとするギミックは存在するし、後半にかけて緻密なアクションと論理的思考を求められるようになるなど、一筋縄ではいかない手強さがあるが、その代わり敵らしい敵はおらず、制限時間やゲームオーバーの概念もない。そのうえステージ攻略中でも手軽に使えるクイックセーブ機能や、詰まったときにはヒントや答えを見ちゃう救済要素も完備されているため、自分のペースでまったり楽しむことができる。丁寧につくり込まれた仕上がりとなっている。
本作の音楽を担当するのは中塚章人氏。任天堂に所属するサウンドクリエイターである。80年代から長く任天堂サウンドを支え続けるベテランだが、基本的に監修やサポートを手がけることが多く、作曲を担当するのは稀である。そのため、本作は氏にとって数少ない作曲担当作品である。のほほんとした作風に見合うように、無性に心躍るようなチャーミングでリズミカルな楽曲が揃っていて、どことなくボサノヴァに通ずる雰囲気が漂っている。サウンドトラックは未発売だが、作中に音楽小屋があり、そこで曲名を確認したり楽曲を試聴したりすることができる。
5-1~5-10面で流れるのがこの曲である。全10ステージ中の中盤あたり、サボテンが並ぶ夕焼けの荒野を背景とするステージ群である。荒野と言って連想する西部劇っぽさは控えめだが、カントリージャズ風の陽気なリズム感で癖になる響きを生み出している。20秒以上に及ぶイントロが明けると、主旋律としてハーモニカとトロンボーンを重ね合わせたような音色が愉しげに鳴り渡るようになる。曲名通りのんびりくつろげるムードが漂っているが、テンポは割と速めであるため、和みつつもモチベーションが湧いてくるような快い感覚を味わえる。とりわけ1分過ぎで鮮やかにメインメロディーが収束するくだりはとても気持ち良く、後を追うようにして1分5秒から冒頭で聴き馴染みのあるフレーズが流れ始めると、いつの間にか次のループへと綺麗に繋がっていく。聴いていると機嫌が良くなる感じのする一曲である。
音符マークがよく似合う曲ですね♪