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Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を隔日更新で紹介します。

#1469 『ラストバトル』(石田宣子・小玉光俊・中島大/NARUTO -ナルト- ナルトRPG~受けつがれし火の意志~/GBA)

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岸本斉史著の忍者バトル漫画「NARUTO」を原作とする、

トーセがおくるRPG・ナルトRPGより、

石田宣子・小玉光俊・中島大作曲、『ラストバトル』(仮称)。ラスボス戦で流れます。

里一番の忍を目指すうずまきナルトの成長と戦いを描く漫画「NARUTO」のゲーム化作品のうち、GBA向けのRPGとして登場した本作。原作序盤から中忍試験編までをなぞるストーリーが収録されている。主人公のナルトを中心に、サスケやサクラらおなじみの仲間たちと一緒に冒険して任務をこなしていくことになる。戦闘システムはゲージに沿って行動順が回ってくるセミリアルタイムのターン制コマンドバトルを採用していて、前衛・後衛に分かれたスリーマンセル(3人編成のパーティ)で180種類以上の術を駆使して戦い抜く。戦闘における特徴的な要素として、格闘ゲームのコマンド入力の要領で時間内に指定のボタンを押すと術を強化できる印入力システムや、仲間と協力して放つ合体忍術が存在する。術の種類と術発動時のカットイン演出が充実している一方で、全体的にグラフィックは粗めで難易度は易しめであるため、ライトな遊び心地を持つ。気軽にナルトの世界でRPGを楽しめる仕上がりとなっている。

本作の音楽を担当するのは石田宣子氏、小玉光俊氏、中島大氏。やや情報がすくないが、おそらくいずれも当時トーセに所属していた作曲家である。このうち石田氏はナルトRPGシリーズには本作をはじめ3作ともすべて携わっているが、小玉氏と中島氏は本作のみの参加である。本作では軽やかさとシリアスさを兼ね備えた上質なサウンドが揃っていて、とこどころ三味線や鼓などの和楽器を添えることで洗練された印象を形作っている。楽曲はアニメ版の劇伴(作曲は六三四プロジェクトと増田俊郎氏による)に通ずるような雰囲気と迫力があり、GBA音源特有の温度感のもとで活き活きと冒険を彩ってくれる。サウンドトラックは未発売のため、曲名は便宜上の仮称とする。

ラスボス戦で流れるのがこの曲である。戦闘に限らず、ラストバトル前の決起シーンなどでも流れるため、ここぞというときに盛り上げるイベント曲のような立ち位置と言える。出だしから高速で奏でられる三味線にオーケストラヒットを重ねて、聴いた途端にテンションがぶち上がる強烈な第一印象を生み出す。8秒頃で三味線が止んでドラムとオケヒが派手に打ち鳴らされると、イントロ明けの11秒から渋く鮮やかな主旋律が入るようになる。メインメロディーを奏でるのは笛だが、その後ろには絶えず寄せては返す波のようにストリングスが響き渡り、22秒で再び三味線とオーケストラヒットが合流する際には潔く主役の座を明け渡す。34秒以降のサビでは単に熱いメロディーを紡ぐだけでなく、38~40秒や44~45秒などでみられるようにドラムとオケヒを巧みに組み合わせて、どの楽器にも相応の出番が与えられる。それまでアルペジオの速弾きに徹していた三味線は、51秒になって満を持してじっくりたっぷり掻き鳴らす見せ場が設けられる。ここが正念場だ、と強く印象付けてくれる一曲である。

一発でぐっと惚れる格好良さがありますね。ちなみに本作は遅れて海外のみDS版が出ているので、DS音源版のアレンジがあります。あと、三味線×オケヒ×笛というとアニメ1期の劇伴の『逆転』がよく似たつくりですね。二つともあわせてどうぞ。

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