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Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を隔日更新で紹介します。

#953 『天地の狭間 -夢幻泡影-』(朝倉紀行/侍道2/PS2)

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アクワイアがおくるアクションアドベンチャー侍道より、

朝倉紀行作曲、2の『天地の狭間 -夢幻泡影-』。昼のフィールドで流れます。

侍の自由な生き様を描く侍道シリーズの2作目にあたる本作。時は幕末、異国との交易で栄える出島・天原を舞台に、ふらりと流れ着いた主人公(侍)は十日間を自由に過ごすことになる。ヤクザの青門組、対立する奉行所、板挟みになる町人たちの三勢力が暮らす土地で、プレイヤーは熱心に仕事に勤しむもよし、極道に染まるもよし、見境なく辻斬りするも、日がな一日怠けるもよし、自由度の高い侍生活を堪能できる。前作から日数が伸び、刀や構えの種類が増加した一方で、ストーリー性の向上に伴って前作ほど突飛な行動には出にくくなっている。時代背景の変更も相まって、前作を踏襲しつつも一味違う体験ができる仕上がりとなっている。後に対戦要素を追加した決闘版が登場したほか、PSPに移植された。

本作の音楽を担当するのは朝倉紀行氏。1曲のみだがKENTARO!氏も携わっている。いずれも朝倉氏率いる音楽制作会社メガアルファに所属する作曲家である。朝倉氏は前作はもちろん、同じアクワイア製の天誅シリーズなどでも作曲経験があり、アニメやテレビCMの分野で多く活躍している。本作では前作同様、和風の世界観だが和に囚われないユニークな無国籍サウンドが揃っていて、和楽器はもちろん、ケーナサンポーニャといった民族楽器、ソプラノのボーカルなども取り入れられている。サウンドトラックはゲームの発売から間もなく登場した。

固有のフィールド曲を持つ奉行所や歓楽街などを除く汎用マップにおいて、昼の間に流れるのがこの曲である。琴と篠笛による叙情的なイントロで没入感たっぷりに侍気分を盛り上げ、23秒あたりから徐々に雰囲気が変わっていくと、ちょうど30秒後となる53秒でがらりと曲調が変化する。弾けるような瑞々しさにあふれた演奏で一気に勢いをつけると、1分半頃には三味線の見せ場が始まる。時折、人声やトライアングルの金属音をを加えながら、疾走感たっぷりに駆け抜けていくと、三味線のフレーズ終了と同時にそのまま1ループが完結する。概ね和風だが、ところどころ怪しげな電子音や効果音なども響かせることで、ケレン味のある斬新な空気感を漂わせる一曲である。

夜間はアンビエントっぽさに磨きをかけたアレンジです。曲は昼のほうが好みですが、夜間の混沌とした感じのほうが天原のイメージに馴染むような気もします。『天地の狭間 -寂寞たる宵-』、あわせてどうぞ。

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